第286話二月つもごり頃に(1)
清少納言先生:今日は、二月のつもごり頃、つまり下旬の頃のお話です。
舞夢 :了解しました。訳をしてみます。
二月の下旬で、風が激しく吹く日がありました。
空が本当に暗くなりまして、雪も少々散らついています。
主殿司が黒戸のところに来て
「御免ください」
と、声をかけてくるので、黒戸に近寄りました。
主殿司が
「これを公任の宰相様が」
と、差し出してきたので、それを見ると、懐紙に
「すこし 春ある 心地こそすれ」
と書いてありました。
確かに、この時期のこの空模様には、あっているとは思うけれど、この上の句については、どういうふうに詠んでお返ししたらいいのだろうか、それで考え込んでしまいました。
私(清少納言)としても
「宰相殿のまわりには、どのような方々が」
と聞いてみると
主殿司
「誰それ殿がおられます」
と答えてくる。
お名前があがった方々は、全てこの私としても、本当に気が引けるようなご立派な方々です。
そんなお方々に囲まれている公任宰相様にお返事を出すということは、なかなか気軽にできるものではありません。
それでも、私一人で考え込んでいても、胸が痛むので、中宮様に相談しようと思うのですが、折から帝がいらっしゃって、一緒に御寝みになっておられるのです。
二月つもごり頃に(2)に続く。
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