第287話二月つもごり頃に(2)

主殿司が

「お早く、お早く」と急かすのです。

その主殿司が、そういう風に言うのも、もっともなこと。

十分な返歌ができずに、時間もかかるようでは、全く取り柄がないと思ったので、「なんとかなるだろう」と思って


「空寒み 花にまがへて 散る雪に」

と、少々震えながら書いて渡しました。

この上の句について、公任様たちが、どんな受け取り方をしたのか、本当に辛い思いです。

評判を聞きたくもあり、悪い評判なら聞きたくないと思っていると

左兵衛督が

「俊賢の宰相が本当に感心しておりまして、清少納言を内侍に任命していただくよう、帝に申し上げましょうと、結論づけたようです」とだけ、教えていただきました。


清少納言先生:はい、お疲れ様。

舞夢    :役職がついた女官ですか、それはうれしいですね。

清少納言先生:はい、中宮様にお仕えするだけでなくて、仕事そのものにも興味がありましたから。


連歌も推薦の材料になったのだろうか、そうなると必死の思いで上の句を詠んだのだと思う。

それでも評価は抜群だった。

しかし、その後、中宮定子の死もあり、時代は道長の娘の彰子が皇后に、中宮定子に仕えていた清少納言の内侍への昇進はかなえられなかった。

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