第256話五月の御精進のほど(12)

中宮様は

「ところで、ホトトギスの歌はどうなったのですか」とお尋ねになられたので、

私(清少納言)は

「これこれ、しかじか」と申し上げました。

中宮様からは

「それは惜しいことをしましたね、殿上人の耳に入った場合に、このような話では面白みがなくて教えられません」

「ホトトギスの鳴き声を聞いた明順のお屋敷で、気持を込めて詠めば良かったのに、あなたらしくありませんね、すこし堅くなりすぎたのでは」

「今、ここでもかまいませんので、詠んでみたらどうですか、本当にどう言っていいのかわかりません」とがっかりなさっておられる。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :中宮様は、本当に期待されていたのですね。

清少納言先生:そうですねえ、少し失敗しました。

舞夢    :なかなか、成り行きということもありますしね。


なかなか、宮仕えというものは、大変である。

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