第251話五月の御精進のほど(7)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


道すがら、卯の花が満開の場所がありまして、それを折って、車の簾や席の近くに挿して、余りの長い枝を車の屋根や棟に菖蒲を葺くように挿すと、まるで卯の花がさく垣根を牛に引かせているとしか見えないようです。

供の男たちも笑いながら「ここは足りないな、ここがまばらになっている」と言いながら、卯の花をあちらこちらに挿します。

せっかくだから、誰か知り合いに合うと面白いなと思っているけれど、貧相な法師やどうでもいいような平民に時々すれ違うだけなのです。

すごく残念なので

「絶対にこのままで終わりにしたくないねえ、この卯の花車の姿の評判を広めたいね」と言い、一条殿の近くで車を停めました。

「侍従の公信殿はおられますか、ホトトギスの声を聞きまして、今帰るところです」

と案内をさせました。


五月の御精進のほど(8)に続く。

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