第250話五月の御精進のほど(6)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


明順朝臣は、中国の風景などを描いてある懸盤(食卓)の上に、様々なご馳走を出してくれるけれど、それに関心を持つ女房はおりません。

明順朝臣は

「確かに本当に不調法で田舎じみたものではありますね。しかし、こういう田舎に遊びに来る人は、下手をすると、亭主が逃げ出しそうなほどに、次々に難しい注文を出すようですが、全然関心を持っていただけないのでは、せっかくここまで来られたあなた方らしくない」などと言います。

明順は、それでも座を盛り上げようと思ったのか

「この下蕨は私が摘んできました」と言うのですが、

私が

「それでもね、どうして女官たちのように、並んでお膳についているのですか」と笑うと、

明順は

「それならば、お膳からおろされたらどうですか、いつも腹ばいの格好になれておられのようですから」と言って、大騒ぎをして世話を焼いてくれます。

さて、車副の男が、「雨降りとなるようです」と言うので、全員車に乗り込もうとするのですが

私が

「では、ホトトギスの歌は、このお屋敷で詠みましょうか」と言ったところ、他の女房が

「それもいいけれど、道すがらでも詠めます」と言って、結局全員が車に乗ることになりました。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :明順朝臣も、ある意味迷惑だったのでは。

清少納言先生:まあ、そうかもしれません。


清少納言先生をはじめ、中宮付きの女房連中なので、自由気ままが許されたのだろうか。

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