第234話無名という琵琶のお琴を(2)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


この「いなかへじ」という御笛の名前については、僧都の君はお知りになる機会がなかったので、それはそれは残念に思われていた様子です。

このお話は中宮様が職の御曹司におられた時にお話になると思います。

確かに帝のもとには、「いなかへじ」という御笛がありましたので。

帝のもとには、御琴にしても、御笛にしても、全て珍しい名前が付けられています。

玄上、牧馬、井手、渭橋、無名など。

また和琴についても、朽目、塩釜、二貫などがあります。

御笛では、水龍、小水龍、宇多の法師、釘打、葉二つ、などがあります。

それ以外にも、多くの珍しい名前を聞きましたけれど、忘れてしまいました。

「宣耀殿の一級品を置く棚に」という表現は、頭の中将からです。


清少納言先生:はい、お疲れ様でした。

舞夢    :三姉妹のお話はともかく、面白い名前をつけていますね。

清少納言先生:そうですねえ、秘蔵の名器。まあ帝が持つのですから、全て特級品です。

舞夢    :なかなか、その立場にならないと接しない場合もありますね。

清少納言先生:ただ、女性が笛を吹かないと言っても、なかなか父の形見は交換できないね。

舞夢    :それを中宮様が機転をきかせて、話題を楽器の名前にすり替えたんですね。

清少納言先生:そういうところが、並外れています。



なかなか、宮中の人間関係の直接的なルポである。

知り得ないことを教えてもらうのは楽しい。

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