第232話内裏は五節のころこそ(4)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


丑の日に行われる御帳台の試みの夜になりました。

行事の取り仕切り係の蔵人は、本当に厳しいお顔と態度です。

「理髪の役をする女房と二人の童女以外は、立ち入り禁止」などとして、舞殿の戸をしっかり閉めてしまって、もう顔を見るのも嫌になるほど厳しい言い方なのです。

それでも殿上人たちが

「それでもこの一人くらいはいいだろう」とおっしゃられると、

蔵人は

「そんなことをすると、他にもうらやましがる人がいますので」と堅く断るのです。

ところが、中宮様付きの女房は、蔵人の言葉などは、全く無視。

二十人ほど、戸を押し開けて大騒ぎで入ってしまいます。

蔵人は、呆れるやらガッカリするやらで

「こうなってしまうのか、とんでもない世の中だ」とつぶやいて立っているままも、面白い。

それに続いて、付き添いの女房たちも全員入ってしまうので、蔵人としては本当に気に入らない様子です。

一条の帝もお出ましになり、面白そうにご覧になったようです。

舞姫たちが局で灯台に向かって座っている姿は、まあ可愛らしいものです。


清少納言先生:はい、お疲れ様でした。

舞夢    :蔵人は大変ですねえ・・・

清少納言先生:あはは、そうですねえ・・・

舞夢    :先生もその中に?

清少納言先生:当たり前です!


蔵人の建前は建前だけど、中宮様の威光にはかなわない。

殿上人よりも女房軍団のほうが強いのかもしれない。

今の世なら「おばさん軍団」のパワーかなあ。

最後に五節の舞姫の可愛らしい姿を書いたのは、おばさんパワーとの対比なのかもしれない。

そんな可愛らしい舞姫も、何年かすれば・・・かな。

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