第221話なまめかしきもの(2)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


三重重ねの檜扇。

五重重ねにすると、分厚くなるので、手元の扇の要が不格好になる。

それほど新しいというわけではなく、かといって古すぎることもない檜皮葺の屋根に、きちんと揃えられた長い菖蒲が端から端まで挿してある様子。

新調して青々とした御簾の下から几帳の帷子(垂れ絹)の朽木形模様がつややかに見えて、帷子の紐が折からの風に吹かれて揺れていいる様子など、格別です。

白く細い組紐。

さっぱりとした帽額。

簾の外になりますが、簀子の勾欄にすごく可愛らしい猫が、赤い首綱に白い札をつけて、村濃の綱をそのまま引き、遠くに逃げないようにと縛った紐や長い組紐を引いて歩いている姿は、やはり可愛らしくもあり、また上品な色彩に見えます。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :檜扇の薄板は八枚が単位なので、三重重ねは二四枚の薄板に糸を通して扇にするとか。

清少納言先生:その通り、ですから五重にすると、根本が重いし不格好です。

舞夢    :朽木形模様は朽木の木目をかたどったものですね。

清少納言先生:はい、その通りです。



実際に現地で見ないとわからない話になると思う。

清少納言先生は、基準を色と模様にして選んでいるように思う。

今では、宮中でも、まずこの様子は特別なことでも無い限りありえない。

寂しいと思うか、仕方がないことだけど。

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