第211話職の御曹司におはしますころ(13)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


里邸に下がっている時でも、夜明けと同時に雪山のことが何よりも心配異なるので、様子を見に行かせます。

それでも十日頃に使いの者は

「あと五日ぐらいは雪が消えないで残るのでは」と報告してきたので、大変うれしいのです。

その後も、昼夜関係なく、見に行かせていたのですが、十四日の夜に雨がかなり降りましたので、このままだと雨に溶かされてしまうだろうと、本当に心配になります。

雨も何故あと一日か二日降るのは我慢してくれないのかと、眠ることもできす、出るのはため息ばかりです。

側で私を見ている人たちは、私のことを正気の沙汰ではないと笑っています。

人が出ていく時に、私もぱっと起きて、下仕えの者を起こすのですが、寝てしまって起きないので、本当に憎らしく腹が立ちます。

ようやく起きてきた者に見に行かせたところ、

「円座程度の大きさで、残っています」

「木守がそれはそれは厳重に見張っていて童も近付けないようにしています」

「ですので、明日か明後日まで消えないで残ると思います」

「ご褒美も頂戴しましょう」との報告で大変うれしい。

早く明日になって、歌を詠み、残りの雪を器にいれてお届けしようと思うのですが、それでも万が一があるので、不安でなりません。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :なかなか必死ですね。

清少納言先生:何しろ十四日の大雨です、あせりましたよ。

舞夢    :先生のそういうお顔がなかなかです。

清少納言先生:え・・・何か?


まあ、のめりこみ、心配性なところも、あるようだ。

それはそれで、人間らしく面白い。

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