第203話職の御曹司におはしますころ(5)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


さて、そんなこともありましたが、少し時がたった十二月の中旬の日に大雪となりました。

それを女房たちを掃除のために、縁先にたくさん集めていたので、

女房の誰かが

「どうせ集めるのなら、庭に本物の雪山をつくりましょう」と言うので、さらに多くの女房たちを呼び集め「中宮様からのお言葉です」ということにして、雪山を作り出しました。

主殿寮の役人で掃除をしていた方たちも全員参加して作るので、一層山が高くなります。

すると中宮職の役人たちも集まってきて、大騒ぎで面白がって参加します。

最初は三、四人だった主殿寮の役人も、いつのまにか二十人に増え、里邸に下がっている侍を呼び出すという話にまで発展します。

その呼出係が

「今日の雪山作りに参加した者には三日間の休暇を与えます、逆に参加しない者には同じく三日間の休暇を返上させます」などと言うので、それを耳にした者は、居ても立ってもいられないので、とにかく参上してくるものもいます。

ただ、屋敷の遠い者には、さすがに使いも出来ませんでした。

さて、雪山も作り終えたので、中宮職の役人を呼び、巻絹を二巻ずつ持たせて縁に起きますと、二巻をひとまとめにして受け取り、拝みながら腰に挟み全員帰っていきました。

いつもは袍を着ている人も、今日はそういう事情があるので、全員狩衣姿でした。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :大雪で大騒動ですね。

清少納言先生:まあ、集める算段がおかしくてね。

舞夢    :確かに、宮中でこんなことが行われているとは、面白いです。


清少納言先生の宮廷実況ルポのようで面白い。

こんなルポを残してくれた清少納言先生に感謝である。


職の御曹司におはしますころ(6)に続く。

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