第158話内裏の局、細殿(2)

清少納言先生:それでは、続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


細殿は昼間はずっと気遣いをしているのだけど、夜になると昼間なんてものではない。

ますます気遣いをしなくてはいけない。

細殿に女房を訪ねてきた男君の沓の音が、夜通し聞こえていたのが、局の前で止まり、おそらく一本の指で蔀戸をたたく。

ああ、あの男君かなあと思い当たり、その「合図」を聞く時は、本当におもしろい。

そのうえ、ずっと長く蔀戸を叩いているのだけど、内側からは何も音を立てない。

男君としては、女房たちが既に全員眠ってしまったと思うのだろうけれど、それが気に入らない。

女房の方から少し身じろぎなどで、衣ずれの音を立てれば。男君も多少は内側の様子を察することもできると思うのだけど。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :これは、逢瀬の実況中継ですね。

清少納言先生:まあ、自分に関係なければ興味津々で。

舞夢    :先生に関係すれば?

清少納言先生:あのね・・・舞夢君もまだまだだなあ・・・


叱られてしまった。ちょっと無粋だった。


内裏の局、細殿(3)に続く。

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