第145話草の花は(3)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


この「草の花」の話の中に、ススキを入れないということが、納得できない人がいるらしい。

確かに秋の野にススキが立つ風情は、ススキでなければならないものがある。

それに、穂先が蘇芳色で濃く、朝露に濡れ風に揺れる姿など、これ以上のものはない。

ただ、そんなススキも秋の終わりには、見ようという気にもならない。

色とりどりに咲いた花が、すっかりとその姿を消し、冬の終わりまで頭を白くして広がっているのに、ススキだけは過去の栄光を自慢するような顔つきで、風に揺れているのが、どうやら人間の姿にも見えてくる。

というような感じで、ススキを人間になぞらえる向きがあるので、それはそれで、身にしみるものがある。


清少納言先生:はい、お疲れ様。

舞夢    :ススキですか・・・。

清少納言先生:秋の七草の一つなんだけどねえ・・・

舞夢    :今の時代は、侘しいとか寂しいものの代名詞です。

清少納言先生:うーん・・・まあ、昔とて、同じようなものです。


ススキを無理やり人になぞらえる必要も感じないけれど、やはり元気さを感じない草だと思う。

そうかといって、書かないのも、ためらったのだと思う。

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