第107話職の御曹司の(1)
清少納言先生:今日から、職の御曹司の話になります。
舞夢 :はい、よろしくお願いします。訳をしてみます。
職の御曹司の西側の立蔀の近くで、頭の弁の藤原行成様が、かなり長い時間、立ち話をしていらっしゃいます。
私も気になって、「そこにおられるのは、どなた様でしょうか」と声をかけたところ、行成様が「頭の弁でございます」と、おっしゃられます。
そういうことなので、「どうして、それほどお話がはずむのですか?大弁がいらっしゃれば、相手にして差し上げなくなってしまいますよ」と言うと、行成様は大笑いになりまして、「誰が中弁は大弁の敵ではありませんということまで、清少納言様にお告げしたのでしょうね。『それを、そうしないでいただけませんか』と、お願いしているところなのです」と、お応えになります。
清少納言先生:はい、そこまでで、お疲れ様。
舞夢 :まず、頭の弁というのは、弁官筆頭でまとめ役の蔵人頭で、この時は藤原行成様、権記で有名なお方で、現代でも能筆家と知られています。
清少納言先生:あら・・・それはそれは・・・(先生の顔が赤らんだ)
舞夢 :大弁というのは、行成様の話し相手の女性の夫ですね。
清少納言先生:行成様はこの時は、中弁なので、上司の大弁には、敬意を使います。だから、見つかると、なかなか逃げられない。
舞夢 :上司である大弁の奥方と話し込んでしまっているので、「大弁が来たならばと」気になってしまったと、なかなか、駆け引きですね。確かに内緒にしたいでしょうしね。
さて、清少納言先生による、藤原行成様の人物論の始まりとなる。
歴史ファンとしては興味が惹かれるところである。
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