第102話にげなきもの(3)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


衛門の佐が夜見回りに歩く姿。

狩衣姿で歩くの姿は、全然、しっくりこない。

かといって、他の人が引いてしまうような、赤色の袍を着込んだ正装は大袈裟過ぎる。

巡視中に、女の局の周りをうろついているのを見ると、情けなくなる。

「あやしい者はいないか」などと咎めるフリをして、女の局に入り込んでしまう。

そして、空薫物の漂う局の几帳に掛けてある袴を見たりすると、呆れて物が言えない。


清少納言先生:はい、お疲れ様。

舞夢    :衛門の佐の巡回とは?

清少納言先生:検非違使庁の次官で、赤とか緋色の袍に弓矢を帯して京中を巡回するのが仕事です。

舞夢    :そんな治安維持のお仕事をするべきお方が、女の局の周りをウロウロするのも変だと、普段着の狩衣といい、まあ正装はありえないけれど、仕事でもないのにという意味ですね。

清少納言先生:そんなね、几帳に袴をかけるなんて・・・無粋にも程があります。


夜でも治安を守るべき検非違使がこんなことでは、京の夜は盗賊が跋扈するのも、当たり前である。

清少納言先生の嘆きも、よくわかる。

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