第100話にげなきもの(1)似合わないもの
清少納言先生:今日からにげなきもの、今の言葉で言えば、似合わないものになります。
舞夢 :了解しました。それでは、訳をしてみます。
似合わないもの。
庶民の家に、雪が降り積もる景色。
また、月光が差し込むのも、もったいない。
月の明るい夜に、屋形をつけない荷車を見かけた時。
それと、そういう粗末な車を、あめ色をした立派な牛にひかせている姿。
年老いた女が大きなお腹を抱えて出歩いている姿。
年老いた女が若い男と結婚していることでも、見苦しく似合わないのに、その若い男が他の女性のところを訪ねたと言って、嫉妬して腹を立てている姿。
清少納言先生:はい、お疲れ様。
舞夢 :そのものズバリですね。
清少納言先生:荷車の中身が丸見えというのも、品がありません。
舞夢 :月明かりの夜ですよね、何を積むのかな。
清少納言先生:夜逃げもあるのかな、よくは見ていないけれど。
舞夢 :年老いた女性のお腹の話は、ご懐妊のことですか?
清少納言先生:うん、そうですね。そう思います。まあね、若い男が逃げるのも、その年老いた女に魅力がないの、ちゃんと努力もしない典型なんだ。
雪の話はともかく、荷車の話は、引かせている立派な牛を思うと「夜逃げ」を連想させる。
年老いた女と、若い男の話は、それぞれ、どういう年齢なのか、判然とはしないけれど、「分をわきまえない」とか「自らの魅力を高めることへの努力不足への嫌悪感」が根底にあるのではないか。
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