第67話小白河といふ所は(8)
清少納言先生:続きをお願いします。
舞夢 :了解しました。
朝座の講師を勤める清範が座につくと、高座の上まで光が満ち溢れるような雰囲気となり、本当にありがたく感じます。
とはいえ、何しろ暑くて耐えられないのに加えて、やりかけた仕事があって、今日中に仕上げなくてはならないので、それを後回しにして、ほんの少しだけ聴聞して帰ろうと思っていました。
だけど、車も幾重にもぎっしりと詰まっていますし、なかなか出るに出られません。
朝の高座が終わったら、やはり、何とかして出ようと、前の車などに声をかけました。
私が退席すれば、それだけ自分が高座の近くに立つのがうれしいのでしょう、早々と車を動かしてくれて、車の通り道を作り、私の車を送り出すのをご覧になります。
本当にうるさいぐらいに、年老いた上達部までが、笑いながらいろいろおっしゃるのは気にせず、返事もせず窮屈なところを無理に出ました。
権中納言が、「やあ、『帰るのもいいさ』」と、にっこりされているのも、素晴らしい。
それでも、本当に暑かったので、その場では対応が出来なかった。
夢中で出てきて、思い出して「五千人の中にあなたも、入らないことはないでしょう」と、人に託して言葉をおかけして、帰ってきました。
清少納言先生:はい、お疲れ様。
舞夢 :本当に暑かったのですね、それはそれは大変でした。
清少納言先生:それとね、義懐様ともお話しできました。
舞夢 :清少納言先生の憧れの君ですね。
清少納言先生:若年ながら花山天皇の外戚で時流に乗った貴公子です。
舞夢 :清少納言先生のお姉様が嫁いだ御方の妹様が、義懐様の室でしたね。
清少納言先生:遠慮なく話ができる関係でした。
清少納言先生と遠慮なく話ができるほどの知性を持つ人間、少し興味が湧いて来た。
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