第49話過ぎにしかた恋しきもの

清少納言先生:はい、おはようございます、続きをお願いします。

舞夢    :それでは、現代語訳します。


過ぎ去った時が恋しく思われるもの。

枯れた葵。

ひな遊びの道具。

二藍染めや葡萄染めなどの布きれが、押しつぶされて草子の中に挟まれていたのを見つけた時。

また時を経て、昔、しみじみと読んだ手紙を、雨降りで所在がない日に偶然見つけて読む時。

去年使った扇。


清少納言先生:はい、お疲れさま。

舞夢    :枯れた葵は、賀茂の祭に使った葵ですね。

清少納言先生:大人の恋かなあ、なかなか手離せない。

舞夢    :二藍染めは葡萄染めは、衣服を新調した時の話ですか?

清少納言先生:そうね、いろんな想いが残りますね。

舞夢    :手紙は、よくわかりますねえ・・・。

清少納言先生:舞夢君の時代でも手紙はあるの?

舞夢    :電子メールという・・・わからないかなあ・・・

清少納言先生:手書きではないと、想いを伝えることは難しいはず。

舞夢    :それもそうですねえ・・・ところでね、先生・・・

清少納言先生:え?

舞夢    :先生より後に吉田兼好という人が、枯れた美を書いています。

清少納言先生:どんな感じ?

舞夢    :例えば・・・


花が散り、月の傾くのを慕う習慣は、もっともなことなのに、ことに無粋な人ほど、「この枝もあの枝も散ってしまった。今は見所が無い」などと言うようだ。


清少納言先生:うーん・・・近いけれど・・・違うなあ・・・

舞夢    :といいますと?

清少納言先生:私が美しさを感じるのは、そのものズバリ、それが基本。

       その吉田って人は、捻りすぎだと思いますよ。

       変に、委縮した美しさかな、わからないではないけれど。


なかなか、美の感覚は違うようだ。

       



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