第32話すさまじきもの(5)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


修験者が物の怪を調伏するなどと自信満々で独鈷や数珠を持たせて、振り絞るような声で、経や陀羅尼経を読んでいるにも関わらず、全然調伏できそうもない。

ヨリマシに護法童子も乗り移らないので、家中の男女を呼びあつめ、病人の周囲に集まって祈念をする。

この修験者で大丈夫かなあと心配になっていると、二時間ほど経を読んだところで、疲れてしまったらしい。

「全然、物の怪がヨリマシに移らない、立ちなさい」などといって、ヨリマシから数珠を取り戻して「ああ、全然,効かないなあ」とつぶやいて、額から頭を撫で上げる。

あくびも、人が大勢いるのに、所かまわず。

物に寄りかかって、気楽な姿勢になっている。

本当に眠い時に、たいして親しくもない人に起こされ、無理やり何やかんやと話しかけられるのは、味気ないものですよ。


清少納言先生:はい、、お疲れさま

舞夢    :修験者って、今の時代は病気治療は認められていません。

清少納言先生:へえ、それはいいねえ。やかましいだけさ。

舞夢    :法外なお金を取るとか。

清少納言先生:うん、調伏できなくても、余程じゃないと責任取らない。

舞夢    :ヨリマシって、本当にあるのかなあ。

清少納言先生:あれは・・・芸かもしれない。

舞夢    :値段を吊り上げるために、移らないとか?

清少納言先生:あたりです。時間をかけるのもそうかなあ。

舞夢    :本当に苦しんでいたり、休みたいときは、枕元でお経はねえ。

清少納言先生:うるさいだけ。


清少納言先生は、キッパリと修験者による物の怪調伏を否定した。

※当時は病気の原因は、「人の怨念の取りつき」と思われていて、それを取り除くために、加持祈祷(調伏)する。

修験者は、普通はヨリマシを同伴し、物の怪をヨリマシに乗り移らせる。

その前に仏法のために使われる護法童子という鬼神を取りつかせる。

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