第9話中宮定子の出産と行啓(4)

清少納言先生:はい、続きをお願いします。

舞夢    :了解です。


私(清少納言)は、側に寝ている人を揺り動かしました。

「ねえ、あれを見てごらん、見かけないお方がいらっしゃいますよ」

と言うと、その人も顔を上げて、大笑いになりました。

私は、一言、言ってあげました。

「あの人は誰なのでしょうねえ・・・もう、丸見えで恥ずかしいのに」と言うと

成昌が「この家の主人としてですね、どうしてもご相談したいことがあるのです」などと言うものだから、

私が「門のことは中宮様に申し上げましたが、この襖のことなど開けて欲しいなどとはねえ・・・」と言うと

成昌が「やはりねえ、そのこともお話したいのです、お伺いしてもよろしいでしょうか、お伺いしてもよいでしょうか」と言ってくるので

側の女房が「こんな格好になってしまっているのに、駄目に決まっているでしょう」と笑って応えました。

成昌も「ああ・・・そうでしたか、お若い方もいらっしゃるのですね」とあきらめて、襖をしめて、すごすごと立ち去りました。

もうね、私たちは、大笑いでした。

襖を開けようと言うのなら、そのまま入ってくればいいのにとね、

入っていいですかなんて言われて、はいどうぞなんて、誰がそんなことを言えるのかとね、まあ成昌は、本当に堅物で面白い。

翌朝ね、中宮様の御前に参上して、この出来事を申し上げました。

中宮様は、「そんな色好みなんてことを聞かない真面目一方の成昌なのに、まあ、夕べの貴方との問答に興味を覚えて、ついつい立ち寄ったのでしょうね」

「かわいそうですよ、あんな真面目な男を、こっぴどく苛めるなんて」とお笑いになりました。


清少納言先生:少しだけ、訳が柔らかくなってきました。

舞夢    :はい、痛み入ります。

清少納言先生:舞夢君だったら、どうするの?

舞夢    :いやー・・・行きませんよ・・・

清少納言先生:やりこめられるから?

舞夢    :危うきに近寄らず・・・

清少納言先生:すごく可愛い人がいたら?

舞夢    :仮定の質問にはお答えできません。

清少納言先生:からかって、大笑いしたくなりました。

       はい、本日はこれにて終了。

       また、明日。


清少納言先生は、あろうことか、手を握って来た。

これも、からかいの技術だと思った。

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