第2話正月一日は

正月一日は、まいて、 空の気色も うらうらと


めづらしう 霞みこめたるに 


世にありとある人は みな姿かたち 心ことに繕ひ


君をも我をも祝いなどしたる


様々にをかし



清少納言先生:ちょっと飲まされ過ぎたけれど、今日もこれだけ。

舞夢    :先生は飲み過ぎでした、あそこまで飲むとは知りませんでした。

清少納言先生:あのね、千年ぶりに飲んでるんだから!日本酒健康法ですって!

舞夢    :・・・怒った先生の顔も素敵です・・・・これを現代語ですね?

清少納言先生:おだてようとなんだろうと、指導は指導です!訳しましょう。

舞夢    :・・・えーーーっと・・・

       正月の一日という日は、いつもの日以上に空の様子もうららかです。

       年も改まり、一面霞みわたる風情の中

       世の中のありとあらゆる人は、心して盛装しています。

       主君を、また自分自身をも末長くと祝う様子が様々な場所で見られ、

       格別に華やかです。

清少納言先生:・・・多少、苦しい部分もあるけれど、まあ正解かなあ。

       「気色」というのは様子ということで、目に見えるもの

       「けはひ」の場合は、あたりに漂う雰囲気です。

       微妙に違うので、注意してください。

舞夢    :了解です。メモしました。

清少納言先生:「霞こめたる」は。春の訪れ、立春の象徴です。

       今は、暦が違うらしいけれど、

       私の時代は立春の日は正月一日の前後十五日の範囲。

       毎年違っていました。

舞夢    :そうなると、あえて、正月一日で「霞」を使う場合は、

       正月一日の改まった感じと立春の華やかさを表現するためですね。 

清少納言先生:うん、だいたい合ってます。

       さすが、日本人ですね。

       そういう感覚が残っていて良かった。

舞夢    :喜んでいただけて、幸せです。


清少納言先生:でもね、まだまだですよ、これからですよ。

舞夢    :え?

清少納言先生:一旦始めたんだから、キッチリ仕込みますよ。


舞夢    :仕込み酒なら・・・ありますが・・・

清少納言先生:ごちゃごちゃ言わない!そうやって誘うんだから・・・

       ほら、さっさと!


清少納言先生は、飲む前から、目がトロンとしている。

これから、難しそうな講義の日は、目に見える場所にお酒を置いておくことにする。

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