第43話 堕神の転

起。


俺の名前は、光リエ(ヒカル・リエ)。女の名前だが、れっきとした男である。


「女の子が欲しかった!? 男の子が生まれたら、男の子の名前をつけやがれ! 小さい頃から、「リエちゃん? え!? 女の子と思った!」とか、好きな女の子に告白をしては、「私、女の子の名前の人とは付き合えません!」とか、そんなことばかりだ!? 俺の人生で楽しいことなんて、やって来ないんだ!」


と、思いつめ、学校の屋上から飛び降り自殺を図ったのだが、不幸な俺は死ぬことすら許されなかった。そんな俺の前に、レンタル福の神という、偉そうなでキチガイな女が現れ、不幸を幸福に変えるという。俺は、福の神に憑りつかれてしまった。福の神のおかげで、俺にも久野文香という彼女もできた。そして、俺の不幸との戦いが始まった。「貴様の不幸、私が頂こう。」あ~ん、パク、モグモグ、ゴックーン「おいしい!」「ほんとに食うな!」俺の生死の不幸はおいしいらしい!?


富士山が大爆発を起こすという、大不幸から人々を守ることができた。俺と福の神だけでの作品としての形もでき、後は舞台を変えても永遠に続けられる所まできてしまった。ということで、新キャラクターを登場させ、作品の世界を拡げる所まで来た。新キャラ以外は、過去作から再登場という形になる。第1号が地味な佐藤さん。第2号がスケバン・気づかい・猫の3人組。


不幸を呼び寄せる俺は、ついに不幸な神まで呼び寄せた。闇エリ子に憑りついていた貧乏神が俺に乗り移ったが、俺の不幸は貧乏神の貧乏という不幸すら吸収しようとする恐ろしさだった。やっぱり不幸な俺に耐えれるのは、福の神しかいないのだった。


先に先に進めようとすると、進むが頓挫するので、ここで闇エリ子こと、闇エリと貧乏神サイドを書いてみよう。これがアニメとは違う、小説の良い所だ。なんと闇エリは、親の貧乏神を誕生日プレゼントのお人形さんのエリザベスとして、なすりつけられたのだった!? お人形さんの正体が、私の幸福を食べる貧乏神と知ってしまい、貧乏神のエリザベスに憑りつかれた私との、ステキな共同生活が始まり、高校にも合格することができたのだ。闇エリは、女子更衣室で俺に裸を見られたことを怒っていた!?


なんにせよ、これで光と闇が揃うことになったのだった。しかし2人は出会いは最悪だし、仲は悪そうである。なのにクラスでは2人は付き合っていて、彼氏彼女だという噂で盛り上がっていた。光と闇・・・売れ筋に持っていけるストーリーが考えられるのだが、それでは今、書籍化やアニメ化されている作品と変わらないような? 教えて編集さん!


光と闇のカップル誕生!? 2人の間を取り持つのは、福の神と貧乏神!? なんちゅう展開になってしまったんだ・・・。ラブコメにはなるね! 光と闇が揃ってしまったことにより、純粋に不幸を福の神が食べ、幸福を貧乏神が食べるというのが小ネタになってしまった。新展開に向け、新キャラを大量生産していく!?


俺は、光の福の神使いに、エリちゃんは、闇の貧乏神使いに、それぞれモデルチェンジした。不幸と幸福のバカップルのため、個性が死んじゃったからだ。そして、第3の神も実装されようとしていた!? 候補に挙がったのは、七福神、冥王神、太陽神、月神、風神雷神・・・。果たして、誰が実験台になるのか!? 


どうやって、福の神と貧乏神が戦うのか、見ものである。神を食べる訳にはいかないしな・・・。幸福と貧乏で踏みつぶすか!? どれだけ強い幸福と不幸なんだ!? オリジナルはオリジナルだけど、こんなにオリジナルにする必要があるのだろうか!?


1番の幸福は2人でいること。1番の不幸は、2人でいられないこと。これが光と闇のカップルの出した結論だった。光の魔法とか、闇の魔術とか、普通にはならないみたいだ。なにか、おもしろい神は舞い降りて来ないだろうか!?


紙神が降臨された。トイレットペーパーの神、ティッシュ神、折り神・・・おもしろいようで、おもしろくない!? ということで、マジメに風神雷神から、神チャレンジを始めることにした。風神は風の神ではなく、風邪の神だった。おまけの雷神の、おもしろいボケが浮かばない!? 困った!?


雷神・・・来診・・・医者か、看護婦になってしまった。紙神の犠牲もあり、福ちゃんが、俺から風邪という不幸を取り除いてくれた。さあ、ここから福の神と貧乏神の恐怖の反撃が始まる!?


俺に対する不幸!? 風邪に、雷を福の神が食べ、風神雷神には貧乏神が憑りついて不幸まみれに、まさか自然属性よりも、福と貧乏属性の方が強かったとわ!?

闇エリの彼氏に手を出された復讐の貧乏が開演する!?


ついに拘束された風神雷神。牢屋の中で俺の神ハラに耐えつつ、健気に暮らしていた。新しく登場した神は1度きりの使い捨てになるのか? それとも折り神のように準レギュラーになり、マスコットキャラとして生き残るのか? 風神雷神は、今後に登場する神々に対する指針となる!?


罪を許された、風神と雷神。住まいは上空。あだ名は、風神が風ちゃんとウイルス。雷神が、雷ちゃんとナースに決まった。他に何を決めればいいのだろう? 憑りつき先も俺に決まり、神ハラし放題!? と喜んだら、エリに監視を頼まれた福ちゃんが、俺の不幸を頂かないので、俺は生死の狭間を彷徨うことになった!? 


神々の入浴しているお風呂場を覗こうとしたが、俺は不幸が重たくて身動きがとれない。せいぜい神湯を飲むことぐらいしかできないのだった。神湯とは、神の入浴したお湯のことをいう。ラノベの購買層が、20代の男性だから、これぐらいの内容でいいのだろう・・・。


堕神。堕天使というのは聞いたことがあるが、堕神は初めてである。俺のような不幸を集める体質なのに、神が3人も憑りついて楽しく? 暮らしているので、天界の神々の怒りを買ってしまった!?


天使ミカエル。神とイチャイチャしている俺は、天界の神々を嫉妬させてしまったらしい。なんと罪深い、俺。そんな俺たちの神ハラな生活を邪魔すべく、天使を使わしたというのだ。福ちゃんたちは身の潔白を証明するために、天使にも、俺に憑りつけというのだ。こうして俺と天使との、天ハラな日々が始まった。


俺に不幸が集まるのは、心が邪で欲望の塊だったのが原因と分かった。どれだけ手を伸ばしても、神に触れる俺の手を、天使ミカエルは、ことごとくかわしていく。なんと天使には、邪な俺の心をキレイに浄化するチカラがあるというのだ。もし俺が真面目な人間になってしまったら、この物語は終わってしまう!?


承。


「光くん、その人は誰?」

「天使。」


俺に憑りついている者が3人から4人に増えているので、闇エリ子と貧乏神のエリザベスは、目を疑った。


「初めまして、天使のミカエルです。堕神が人間をいじめていると、神々が怒っていまして、私が堕神の抹殺に使わされました。」

「抹殺って・・・。」

「そちらの貧乏神も堕神候補なので、少しお話をお伺いしていいですか?」


なんと、エリザベスも堕神の候補だったのだ。


「エリザベスは、堕神なんかじゃないは、私の友達よ!」

「エリちゃん! エリザベス感激!」

「お二人は、仲良く暮らしているのですね。」

「そうよ! 子供の頃から、私とエリザベスは一心同体! 私の幸せを半分に分けあって暮らしてきたんだから!」

「そうだ! 今の私があるのは、エリちゃんのおかげだ。」


闇エリとエリザベスは、強い絆で結ばれているのだ。


「わかりました。貧乏神の堕神疑惑は、裁きの天使ミカエルが、無罪と承認しましょう。」

「やった!」

「よかったね! エリザベス!」


2人は喜んだ。そして、ミカエルは、俺たちの方をジローっと見つめてくる。


「やはり問題は、こっちの3人ですね・・・。」


天使ミカエルは、仕事熱心で真面目な天使なのだった。


転。


「光くん。」

「なに? エリちゃん?」

「ところで、堕神ってなに?」

「ズコー!?」


エリちゃんは、堕神を知らなかったのであった。


「私が説明しましょう。堕神とは、神なのに人間をいじめるなど、神にも劣る行為をしている神のことをいいます。」

「そうだったんだ。で、誰が堕神の候補者なの?」

「光リエさんに憑りついている、3神です。」

「そうね。確かに堕神だわ。」

「ズコー!?」


エリちゃんは、エリザベスが無事なら、あとは、どうでもいいのだった。


「光くんたちは、仲良くやっているんだから、別にいいんじゃないの?」

「天界の神々には、そうは見えないらしいんです。」

「そうかしら?」


闇エリ、エリザベス、ミカエルは俺たちを見る。


「福ちゃんに、ペチャ。」

「こら! 私に触るな!」

「この神ハラ野郎! 神の怒り! サンダー!」

「お姉さまに汚らわしい手で触るな! 冬に大流行! インフルエンザ!」

「ギャアアアアアア!?」


俺は、真っ黒になり、ゴホゴホ咳をした。


「ほら、仲良さそうでしょう。」

「そうですかね・・・。」


まだ、天使ミカエルは、俺と福ちゃんたちの仲を疑っている。


結。


「それでは、最後に本人たちに、弁解の機会を与えます。」


ミカエルが、福ちゃんたちを裁こうとしている。


「まず、福の神さん。」

「はい。」

「あなたは堕神ですか?」

「違います。私は、貴様が不幸の中の不幸に選ばれてしまったので、福の神派遣センターから、1年間の契約で派遣されて憑りついている、レンタル福の神です。」

「そうだったんですね。」

「はい、1年経ったら、私はいなくなりますよ。」

「風神さん、雷神さんは?」

「私たちは、福の神お姉さまの人徳に惹かれて、ここにいるだけです!」

「そうです! 堕神では、ありません!」

「ふむふむ。」


ミカエルは、メモを取りながら、違和感を覚える。


「では、みなさんは、どうして人間をいじめるのですか?」

「それは、この男が神ハラや、我々の入ったお風呂のお湯を飲むからです。」

「な、なんと!?」


ミカエルは、人間の変態さを初めて聞かされた。


「あなた方は、自分たちの悪行を、こんなに純粋な人間のせいにしようというのですか?」

「神ハラする人間のどこが、純粋なんだ!?」

「それも純粋な人間の欲望です。神なら受け入れなさい!」

「そんな無茶苦茶な!?」


ミカエルは、真面目過ぎて、ネジが曲がっているみたいだ。


「天使だ! ミカエルこそ、天使の中の天使だ!」


俺は、神ハラ容認の天使さまを崇めた。


「ということで、あなた方は、堕神認定です!」


天使は、福ちゃんたちを堕神と認めた。


つづく。



















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