第42話 堕神の承
起。
俺の名前は、光リエ(ヒカル・リエ)。女の名前だが、れっきとした男である。
「女の子が欲しかった!? 男の子が生まれたら、男の子の名前をつけやがれ! 小さい頃から、「リエちゃん? え!? 女の子と思った!」とか、好きな女の子に告白をしては、「私、女の子の名前の人とは付き合えません!」とか、そんなことばかりだ!? 俺の人生で楽しいことなんて、やって来ないんだ!」
と、思いつめ、学校の屋上から飛び降り自殺を図ったのだが、不幸な俺は死ぬことすら許されなかった。そんな俺の前に、レンタル福の神という、偉そうなでキチガイな女が現れ、不幸を幸福に変えるという。俺は、福の神に憑りつかれてしまった。福の神のおかげで、俺にも久野文香という彼女もできた。そして、俺の不幸との戦いが始まった。「貴様の不幸、私が頂こう。」あ~ん、パク、モグモグ、ゴックーン「おいしい!」「ほんとに食うな!」俺の生死の不幸はおいしいらしい!?
富士山が大爆発を起こすという、大不幸から人々を守ることができた。俺と福の神だけでの作品としての形もでき、後は舞台を変えても永遠に続けられる所まできてしまった。ということで、新キャラクターを登場させ、作品の世界を拡げる所まで来た。新キャラ以外は、過去作から再登場という形になる。第1号が地味な佐藤さん。第2号がスケバン・気づかい・猫の3人組。
不幸を呼び寄せる俺は、ついに不幸な神まで呼び寄せた。闇エリ子に憑りついていた貧乏神が俺に乗り移ったが、俺の不幸は貧乏神の貧乏という不幸すら吸収しようとする恐ろしさだった。やっぱり不幸な俺に耐えれるのは、福の神しかいないのだった。
先に先に進めようとすると、進むが頓挫するので、ここで闇エリ子こと、闇エリと貧乏神サイドを書いてみよう。これがアニメとは違う、小説の良い所だ。なんと闇エリは、親の貧乏神を誕生日プレゼントのお人形さんのエリザベスとして、なすりつけられたのだった!? お人形さんの正体が、私の幸福を食べる貧乏神と知ってしまい、貧乏神のエリザベスに憑りつかれた私との、ステキな共同生活が始まり、高校にも合格することができたのだ。闇エリは、女子更衣室で俺に裸を見られたことを怒っていた!?
なんにせよ、これで光と闇が揃うことになったのだった。しかし2人は出会いは最悪だし、仲は悪そうである。なのにクラスでは2人は付き合っていて、彼氏彼女だという噂で盛り上がっていた。光と闇・・・売れ筋に持っていけるストーリーが考えられるのだが、それでは今、書籍化やアニメ化されている作品と変わらないような? 教えて編集さん!
光と闇のカップル誕生!? 2人の間を取り持つのは、福の神と貧乏神!? なんちゅう展開になってしまったんだ・・・。ラブコメにはなるね! 光と闇が揃ってしまったことにより、純粋に不幸を福の神が食べ、幸福を貧乏神が食べるというのが小ネタになってしまった。新展開に向け、新キャラを大量生産していく!?
俺は、光の福の神使いに、エリちゃんは、闇の貧乏神使いに、それぞれモデルチェンジした。不幸と幸福のバカップルのため、個性が死んじゃったからだ。そして、第3の神も実装されようとしていた!? 候補に挙がったのは、七福神、冥王神、太陽神、月神、風神雷神・・・。果たして、誰が実験台になるのか!?
どうやって、福の神と貧乏神が戦うのか、見ものである。神を食べる訳にはいかないしな・・・。幸福と貧乏で踏みつぶすか!? どれだけ強い幸福と不幸なんだ!? オリジナルはオリジナルだけど、こんなにオリジナルにする必要があるのだろうか!?
1番の幸福は2人でいること。1番の不幸は、2人でいられないこと。これが光と闇のカップルの出した結論だった。光の魔法とか、闇の魔術とか、普通にはならないみたいだ。なにか、おもしろい神は舞い降りて来ないだろうか!?
紙神が降臨された。トイレットペーパーの神、ティッシュ神、折り神・・・おもしろいようで、おもしろくない!? ということで、マジメに風神雷神から、神チャレンジを始めることにした。風神は風の神ではなく、風邪の神だった。おまけの雷神の、おもしろいボケが浮かばない!? 困った!?
雷神・・・来診・・・医者か、看護婦になってしまった。紙神の犠牲もあり、福ちゃんが、俺から風邪という不幸を取り除いてくれた。さあ、ここから福の神と貧乏神の恐怖の反撃が始まる!?
俺に対する不幸!? 風邪に、雷を福の神が食べ、風神雷神には貧乏神が憑りついて不幸まみれに、まさか自然属性よりも、福と貧乏属性の方が強かったとわ!?
闇エリの彼氏に手を出された復讐の貧乏が開演する!?
ついに拘束された風神雷神。牢屋の中で俺の神ハラに耐えつつ、健気に暮らしていた。新しく登場した神は1度きりの使い捨てになるのか? それとも折り神のように準レギュラーになり、マスコットキャラとして生き残るのか? 風神雷神は、今後に登場する神々に対する指針となる!?
罪を許された、風神と雷神。住まいは上空。あだ名は、風神が風ちゃんとウイルス。雷神が、雷ちゃんとナースに決まった。他に何を決めればいいのだろう? 憑りつき先も俺に決まり、神ハラし放題!? と喜んだら、エリに監視を頼まれた福ちゃんが、俺の不幸を頂かないので、俺は生死の狭間を彷徨うことになった!?
神々の入浴しているお風呂場を覗こうとしたが、俺は不幸が重たくて身動きがとれない。せいぜい神湯を飲むことぐらいしかできないのだった。神湯とは、神の入浴したお湯のことをいう。ラノベの購買層が、20代の男性だから、これぐらいの内容でいいのだろう・・・。
堕神。堕天使というのは聞いたことがあるが、堕神は初めてである。俺のような不幸を集める体質なのに、神が3人も憑りついて楽しく? 暮らしているので、天界の神々の怒りを買ってしまった!?
天使ミカエル。神とイチャイチャしている俺は、天界の神々を嫉妬させてしまったらしい。なんと罪深い、俺。そんな俺たちの神ハラな生活を邪魔すべく、天使を使わしたというのだ。福ちゃんたちは身の潔白を証明するために、天使にも、俺に憑りつけというのだ。こうして俺と天使との、天ハラな日々が始まった。
承。
「天使のミカエルです。みなさん、よろしくお願いします。」
ミカエルは、改めて挨拶をする。
「俺、光リエ。よろ~」
「福の神だ、よろしく。」
「風神です。福の神お姉さまには近づかないように!」
「雷神です。あなたは立派に、この男を守るのよ!」
「はい! 分かりました!」
ミカエルは、天使らしく、使命感に燃えている。
「光リエさん、私が、この堕神たちの魔の手から、守って見せますね!」
「よろしくお願いします!」
ミカエルが俺の手を両手で力強く握ってくれる。俺は、ラッキーとデレデレした。しかし、ミカエルは俺の本性に気づいていない。
「あの顔はヤバイな・・・。」
「でも、あいつに近づいて来るものは、天使であっても不幸なはず!?」
「少し、様子を見てみましょう。」
3神は少しの間、神ハラされないことを安心すると共に、天使がどういう運命なのか、様子を見ることにした。
転。
「光リエさん、まず、何からしましょうか?」
「ミカエルさんは、何が得意なんですか?」
「剣と裁きと、ケーキ作りです。」
「じゃあ、おやつのケーキ作りをお願いします。」
「わかりました。」
ミカエルは、エプロンをして、ケーキを作り始めました。俺は、そんな天使がカワイイと、そっと、背後から近づいて、抱き着こうとするが、
「光リエさん。」
「ドキ!?」
まるで、後ろに目があるかのように、天使に俺の存在はバレていた。
「もうすぐできますから、もう少し待ってくださいね。」
「は、はい!?」
俺の天使ハラスメント、略して、天ハラは地味に失敗した。
「手伝ってくれるんですか?」
掃除も、洗濯も、お買い物も、ニコッと笑う天使に肩透かしを食らわされてしまう。これが天使のチカラなのか!?
「おいしい! このケーキ、おいしいよ!」
「ありがとうございます。」
「まさか、天使にこんな才能があったなんて!」
「これで私たちは、仲間だ!」
「仲間!? なんて響きのいい言葉なんでしょう!」
天使は天使らしく、良い言葉には、微笑んでしまうのだ。
「あそこの、暗い人間は何をしてるんでよう?」
「何回もセクハラしようとして、失敗したからな・・・。」
「やっぱり天使も不幸だったんだ。」
「いや、触らせないミカエルは、すごいよ!」
「ええ!? 私、すごいんですか!?」
「すごいよ! 天使の中の天使!」
「やった! 褒められた。」
喜ぶ天使に、
「やっぱり、俺って、不幸だ・・・。クシュン。」
不幸な俺だった。
結。
「先に風呂に入れ! ダブルキック!」
「ギャア!?」
俺は、風神雷神のダブルキックを食らい、風呂に先に入る。これは、俺が神の入ったお風呂のお湯、神湯を飲んだことがバレたのが原因である。
「やめなさい! あなたたちは、それでも神ですか!?」
「神です!」
事情を知らない天使は注意するが、神ハラの被害者は、抵抗する。
「光リエさん、こんな人たちは、放っておいて、お風呂に行きましょう。私がお背中を流してあげます。」
「わ~い! 行きましょう!」
俺は天使と一緒にお風呂に向かった。
「あいつ、誰でも、いいんだろうな。」
「人間って、分かりやすいな。」
「天使も被害にあえば、目が覚めるさ。」
「さすが、福の神お姉さま! ペチャ。」
「触るな!」
好き勝手言われていることも知らずに、俺は、天使と脱衣所までやってきた。
「混浴! 混浴! うれしいな!」
「私は入りませんよ。背中を流してあげるために来ただけですから。」
「そんな!?」
「新入りは、先輩がお風呂に入った後に、最後に入ります。」
「ガーン!」
天使さんは、マジメだった・・・。俺は、天使に背中を洗ってもらう。
「光リエさん、あんな堕神たちと一緒に暮らして、疲れませんか?」
「そんなことはないよ。楽しく暮らしているよ。」
「そうですかね? さっきもキックされてましたし・・・。」
「あれは俺が悪いから、いけないんだ。」
「すばらしいです! 人間なのに、謙遜されて・・・。あの堕神たちに、光リエさんの爪の垢を煎じて飲ましてやりたいです!」
「ハハハ。ガクン。」
そんな俺は、なんとかして、ミカエルの服が水に濡れて脱がなければいけない状況にならないかな~と試行錯誤していたが、変に真面目な天使は、俺のやる気を萎えさせた。
「ええ!? 天使がいると、人間の欲望を抑えるんですか?」
「そうだよ、なんて言ったって、神の使いだからな。」
「さすが福の神お姉さま! 物知りだわ!」
「不幸を集める、心に欲望だらけの人間には、厳しいだろうな。」
「ということは・・・今頃、お風呂場では・・・。」
天使は、人間の心を清めるというのだ。
「はい、きれいに洗えましたよ! エヘ。」
「やっぱり、俺は、不幸だ・・・。」
目の前にカワイイ天使がいるのに、不幸を呼び寄せる、俺の邪な気持ちは、泡となって弾けて消えていった。
つづく。
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