第11話 11 新聞に載る

紫家は、朝食を食べている。初登場、紫の母、紫の父(名前は、まだない。)と、兄妹で食卓を囲んでいる。


「お兄ちゃん、おはよう~♪」

「おはよう・・・。」


朝が来た。妹のブッコは、昨夜は、今日ボスを倒すことができてご満悦であった。自分が、どういう状況におかれているかは知らない。普段通りに明るく朝を迎えている。


一方の兄、紫茄子男は、一度も今日ボスを倒すことはできなかった。敵を倒すことができないと、プレイヤーは、ふてくされるのだ。


「いいな~、ブッコは、悩み事がなくていいな。」

「ないよ~♪」

「・・・聞いた僕が悪かった。」

「そのとおり~♪」

「はぁ・・・。」

「わ~い~♪」


兄は、妹の顔がカワイイので、まだ許せるが、妹のブリッコでもないが、このはじけた性格にはついていけなかった。


「ブッコ、ミニトマトをあげよう。」

「わ~い~♪ お兄ちゃん、大好き~♪」

「茄子男、好き嫌いしないで、食べなさい。」

「トマト嫌いなんだよ。」

「パク~♪ もう食べちゃったもんね~♪」

「我が家は、いつも楽しくていいな。」

「ハハハハハッ!」


紫家は、父、母、兄、妹の4人家族である。底抜けに明るいブッコのおかげで、紫家は、いつも笑顔で溢れていた。父が新聞を見ている。


「おい、新聞を見てみろ!」

「なになに?」


新聞の1面には、「109、渋谷EEGgamesに参入、1日で売上 7億円!」


「7億円!? 」

「わ~い~♪」

「すごい! 今までの記録じゃない?」

「俺たちが減税されているのも、渋谷EEGgamesのおかげだな。」


新しい技術は、街を、暮らしを、人間を豊かにしてくれる。


「すごい~♪」

「なになに、遂に商業使用も解禁か!? だって。」

「ネット通販ができるってヤツでしょう?」

「ランキング上位者の着ぐるみパジャマは、ファンには売れるし、スポンサーもついてるし、ゲーム内で直接、商品が変えるようになったら、すごく儲かるだろうな。」

「お! 109の流行ファッションを着て、今日ボスと戦う、うさぎの着ぐるみパジャマの写真があるぞ。」

「そうか! この動画を見た人が、商品を買ったのか、すごいな。」

「あれ? なんだか、うちのブッコに似ているような・・・。」


渋谷EEGgamesは、まだまだ成長を続けている。位置情報ゲームは、人を集めることに成功した。強さや回復を、実際の飲食や病院にすることで、お金が循環し経済が潤うようになった。世間話のネタにもなり、家族も楽しく暮らしている。実に素晴らしいゲームであった。


「わ~い~♪ うさピョンは強いのだ~♪」

「それはない。」


まさに、灯台下暗し。世界の人々は知っていても、家族だけは、ブッコの活躍を知らなかった。


つづく。

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