第12話 12 7億の女

「対戦を申し込まれました。どうしますか?」

「パス! 学校に遅れちゃう~♪」


朝、学校に向かう登校中。妹のブッコは、恐ろしい位、対戦を申し込まれた。それを兄の茄子男は不思議に思った。


「ブッコ、今日はやけに対戦を挑まれるな。」

「そうだね~♪」

「何かゲームの中で、チート行為でも、やらかしたのか?」

「してないよ~♪」


そう、ブッコのチート行為は、共闘して、兄の警視庁サイバー犯罪対策高校の特殊アバターのサイバーガンで今日ボスを倒してもらうぐらいである。バレても、1回2回では、別に目立たない。


「ブッコのアバターのうさピョンは弱いから、誰かが嫉妬したり、恨まれることもないと思うんだけどな?」

「うさぴょんぴょん~♪」


知らないのは、兄だけ。バカなのは、妹だけ。なんてステキな兄弟だ。


「7億円だ!」

「7億!」

「あれが7億円か!」


兄の茄子男は、街を歩いていると、四方八方から「7億円」と声が掛かり、人々の羨望と憎悪の眼差しを感じる。妹のブッコに向けられているものなのだが。


「7億ってなんだ? にこやかなのと、睨んでるのと、いったい何なんだ!?」

「7億うさぴょん~♪」


周囲を気にする小心な兄と、我関さずのマイペースな妹であった。そこに妹友のナゴンと兄友のハチがやって来た。


「おはよう。」

「おはよう~♪」

「おはよう、どこも、うさピョンの話でもちきりよ。」

「おはよう、7億円の女。」

「おまえたち、何を言っているんだ?」

「兄のくせに、ナスビは何を言ってるんだ?」

「え?」

「おまえの妹は、渋谷EEGgamesで、1日で7億の売り上げを達成した、109のレアな着ぐるみパジャマの持ち主だぞ!」

「な、なに!?」


兄は、初めて知った。妹がレアな着ぐるみパジャマを持っていることを。プレイヤーとしては、1日7億円の売り上げよりも、レアなアイテムを、妹が持っていることが悔しかった。妹もおバカ設定なので、細かい数字は分からない。


「うさぴょん、すごい~♪」

「ブッコちゃん、今日は、ナゴンと共闘しまくってね~♪」

「いいよ~♪ だって、ナゴンちゃんは親友だもん~♪」

「チェリーちゃんとハチも、一緒に遊ぼうよ~♪」

「ワンワン、7億うさピョン見せて。」

「・・・。」


昨日まで、チート行為で助けていた兄は、妹に抜かれていた。


つづく。

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