人間の呪い

カインとアベル

ある日、人の妻イヴは身ごもってカインを産んだ。


「やったっスね!イヴさん!」


「そうね。私は神様によって一人の男子を得たんだわ」


「いい子に育つといいっスね!」


「きっとこの子、カインから救いがもたらされるんだわ」


「ちょっと会話がズレてる気がするけど気にしないっス!」


それからイヴは弟アベルを産みました。アベルは羊を飼う者となり、カインは土を耕す者となりました。


「アダム、園から追い出された時のあなたのことをこの子達に教えたらどうなるのかしらね」


「やめてっス!今はちゃんと働いてるっス!」


さてさて、ある時期になってカインとアベルはヤハウェへ捧げ物を持ってきました。


カインは地の作物を、アベルは彼の羊の初子の中から、それも最良のものを、自分自身で持ってきました。


「アベルくん、君いいねぇ!」


ヤハウェはアベルとその捧げ物に目を留められました。


「ありがとうございます」


「あ、あの、主よ。俺の持ってきた野菜や果物はお気に召しませんでしたか?」


「え?あーうん。ありがとね」


「…………」


あまり受けが良くなかった様子。それでカインはひどく怒り、顔を伏せました。


「カインくん、だっけ?なんか怒ってる?なんで顔を伏せているの?正しい行いは受け入れられるよ。でも正しくない行いなら罪は大きな口を開けて君を待っているよ?だが君はそれを治めるべきなんじゃないかな」


要約すると、『君の捧げ方は間違っているよ。だからといって罪を犯さないでね。罪の意識に支配されないで、むしろ罪を犯さないように制するべきだよ』と言っています。


しかし兄より優れた弟など存在しない主義のカインはその過ちを認めることをしませんでした。


「ん?どうしたのカイン兄さん」


「アベルよ……野に行こうぜ……久しぶりに、キレちまったよ」


「まぁいいけど……目が怖いよ?」


恐らく妬みが原動力となったのでしょう。そこでカインはアベルを殺しました。











神様だよ。丁寧口調って疲れるね。それは置いといて解説をさせてもらうよ。


「何故主はカインではなくアベルの捧げ物に目を留めたのか」が気になっている人も多いんじゃないかな。


カインとアベルの職業に注目してみよう。カインは土地を耕す仕事、恐らく父のアダムから引き継いだんだろうね。


そしてアベルは羊という動物を飼うことを仕事としているね。


親作品である聖書を見ると『アベルは自分自身で最良の羊を持ってきた』ということが強調されているんだ。


つまり、カインは土地にある適当な野菜や果物を人に頼んで主に捧げたのかもね。


しかしアベルは自分で持ってきた。きっと私と個人的な関係を持つことを望んだのだろう。


ちょっと難しい言い方をすると、カインは『人間的な方法』で私に近づこうとしているのに対し、アベルは『神の方法』で私に近づこうとしたんだ。


アダムの罪によって土地は呪われたって話は前にしたよね?


そんな呪われた土地から出た作物が、神様である私に受け入れられる訳ないじゃん。


でもアベルは違った。アダムとイヴを楽園から追放したときのことを思い出してよ。


『罪を持った人が私に近づくときは犠牲を伴わなければならない』的なことを説明したよね。


だからアベルは子羊を屠って、私に捧げたんだ。


まとめると、カインとアベルの捧げ物の大きな違いは『犠牲』があるか無いかなんだ。


アベルの捧げた子羊は最良のものであり、それは尊い立派な犠牲だからね。


だから私はアベルを気に入った。それだけなんだ。



ちょっと豆知識。ラストシーンでカインは妬みで殺人を犯したよね。ユダヤ人の宗教指導者が、イエスキリストを十字架に磔にしたのも妬みが原因なんだ。因果律って怖いね。

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