Key of the children
マコ
第1話 出会い①
彼女に会ったのは、今から3年前の赤い月の夜だった。闇を映し出しているような黒い瞳に、長く赤い髪の毛を風にたなびかせ泣いているその顔は、とても美しかった。僕は、生まれて初めて一目惚れをした。その出会いが必然なのか、それとも偶然だったのかはあの日の赤い月しか知らなかった。
生まれつき体が弱く、病気体質の僕は外に出て遊ぶことがあまり、許されていなかった。ベッドの上で寝て1日を過ごすことも少なくなかった。
窓から見える街の様子を見ていて、不思議に思った。街がいつもよりにぎやかで、あちこちに様々な飾りが施されており、街の真ん中にはデコレーションされた大きなもみの木が立てられていた。
僕は、片付けをしていた婆やに聞いた。
「婆や。今日は街で何か行われているのか?いつもよりにぎやかだな…。」
部屋の片付けをしていた婆やは、手を休め窓の近くまで来た。
「あぁ、あれはクリスマスですよ、坊っちゃん。もとはイエス・キリストの生誕祭だったのですが、今の時代は親しい者同士でプレゼントを交換したり、家族でご馳走を食べたりしているようです。」
婆やはいつも新しいことを教えてくれてくれる。両親が仕事でこの広い家には、婆やと少しのメイドたちや執事がいるだけだった。だから、この家は常に静かだった。
「いいなぁ、クリスマス。僕もこの病気が治ったら、いつか街に行ってみたいな…。そのときは、街の案内をよろしく頼むぞ、婆や。」
「是非ともおともいたします。さあ、風邪を引いてしまうと大変なので窓を閉めますね。」
そういうと、婆やはまた片付けに戻って行ったので、僕も目を閉じることにした。
婆やに呼ばれて目を覚ますと、既に6時を過ぎていて夕飯の時間だった。いつも通りの夕飯を食べ、本を読み、お風呂に入る。
クリスマスの話を聞いたからだろうか、いつもと変わらないのに寂しいのは…。きっと気のせいだろうと思い、僕は枕に顔をうずめて、婆やに部屋の電気を消すように頼んだ。
「やっぱり眠れない…。あの街のきらめきが忘れられないや…。」
僕は、もう一回街の風景を見ようとカーテンを開けた。しかし、街はもう寝静まったように暗かった。机の上の時計を見ると既に12時を過ぎていた。気づかないうちに、時間が過ぎていたらしい。
そのとき、向こうの建物の屋根にキラリと光るなにかが見えた。僕は、窓を開けて身をのり出した。外からは、一気に冷たい風が流れ込んできた。
僕は、光ったものが大きな鍵と気づくまでに時間がかかった。それ以上に僕の目を引いたのは、赤い髪を持ち涙を流す女の子だった。
Key of the children マコ @mako_k08
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