蛇の月 五日

 また騒ぎだ。またギャリーだ。今日は一体何なんだと聞いたら、昨日の大当たりに気をよくした元締めが、今日の夜に女を呼んでくれるという。もうギャリーは一人

テーブルの上に立たされて、周りはそれを崇め奉る勢いだ。まあ今まで一度もなかったからな、この飯場では。ギャリーは完全に福の神扱いで、中にはギャリーの爪をお守りにするからくれとか言い出す奴まで出る始末だ。つってもどうせゴブリンのメスとかトロールのメスとかだ。オークのメスだったらまだマシってところだろう。よく見たらラッドの奴まで囲いに加わってるじゃねえか。やっぱ辛いのは辛いのなあいつも。

 もう連中は完全にテンション上がりすぎてイカレポンチと化しており、うわごとを言い始めている。やれ「きっとウッドエルフのメスが来る」だの「キラッキラサラッサラの金髪で凄くいい匂いがするんだ」だの「乳もあって腰も細くてスゲエ具合がよくてそれでいて恥じらいがあって」だの「そんなのが俺たちに囲まれたらよ、きっとうつむいてちょっと涙目になっちまってそれでも逆らえねえから、少しずつ少しずつ服を」だのもう訳が分からねえ。来るかそんなもん。こりゃ今日はもう仕事にならねえな。……まあ、俺もよ?ちっとは期待しないでもねえよ。今日は久しぶりに水浴びでもするか、なあバルド。

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