第拾伍宴

──微睡みの底──

そこはボクが気がついたらよくいる場所。何で、そこに居るのかは分からないし、知らない。

ボクはよくここで壊れそうになる喰われそうになる。自身の奥底に眠る、多大な欲と、絶望に。

今まで何人壊して、その骨を喰らってきただろう? 今まで一体幾つの恨み辛みを買ってきただろう?

ここはボク以外誰も存在してなくて。だから不意に怖くなるんだ、んじゃないかって。んじゃないかって。

拒絶されるのは、慣れてる。嫌われるのも、恨まれるのも、厭われるのも、何もかも。

だけどね? やっぱりボクは怖いみたいだ。クセして、みたいなんだ。

──…オカシイかな? ボクみたいな狂人が、なんて思うのは……



「ひがっちゃんから何処まで聞いているの?」

「え、と…過去を少しだけ」

「そう……じゃあひがっちゃんの能力の事とかは、聞いてない訳ね?」

「はい、そうなります」

「ひがっちゃんは自分の事は隠す事が多いからね……」

「過去と言ってもさわりだけでしたけどね? 菱垣さん、僕には殆ど教えてくれないですから……」

「いや、アナタだけじゃないわ。ひがっちゃんはほぼ鳴獅君以外にはのよ」

「えっ……」


癒斬邑はそう前置きして、菱垣さんの事を語り出した。……

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