第肆宴
菱垣さんがニヤニヤと笑って扇をぱたぱたと振る。どうやら菱垣さんと面識があるらしい。
「あっはは成程成程、今回
「菱垣さ、ん……?」
「…………骨譟、こちら側へ来い。お前は
「あっはははは! 何を言う出すかと思ったら! ボクに、骨譟菱垣に『
「……『
「…………無論お前が数年前に起こした事は憶えている。そのせいでこちらも甚大な被害を受けたからな。だがそれとこれは話が別だ。
突然現れた壮年男性が菱垣さんに手を差し伸べながら『
──
「…………
「へぇ〜…………ってうわぁっ!? 卯月さんいつの間に!?」
「あっは
疑問に感じていた事の答えを貰って感心していると、すぐ隣から答えが返ってきた事に疑問を覚えて横を見ると今の今まで姿の見えなかった卯月さんが居た。菱垣さんは俺の反応を見て愉しそうにニヤニヤ笑っている。
──……この人絶対愉しんでるだろ……しかし、『
「…………梓潼さん、骨は降ろさなくて宜しいのですか?」
「え? あ、あぁ今降ろすよ……ってあれ? 骨の数が減って、る……?」
卯月さんに促され、からっていた鞄を地面に置いた所でおかしな事に気が付いた。今までなら重くて鞄を置く時はドスンッと重たい音がしていたハズだ。なのに今はカシャンッと骨同士がぶつかる軽やかな音しかしない。
不思議に思って中を覗けば明らかに骨の数が減っている。
──どう、いう……事だ……?
「どうかしたのかい、
「…………あの……骨の数が減っている、ンですが……?」
「ん〜? あぁそうか、キミにはまだ教えて無かったっけねェ?」
「…………へ?」
──嫌な予感がする……
菱垣さんの言葉に背中を悪寒が走りぬける。
「卯月は元より死んでるから骨だよ?」
「あぁ何だそういう事……ってはい!?」
「だからァ『
「うそ……」
──
僕は呆然と隣に立っている卯月さんを見る。
卯月さんは申し訳無さそうに肩を竦めて視線を返してくる。それで僕は菱垣さんの言う事が本当の事なのだと、理解してしまった。元より菱垣さんが嘘を付ける訳が無い。嘘を付くのが下手糞な上に嘘を付く事自体を苦手とする菱垣さんなのだから……。
「…………そろそろ茶番は終わったかね?」
「あっはは〜延々に終わらなくても良いかもねェ?」
「……ッ!」
「…………」
男性の言葉にそれぞれ反応を返す。男性はそれを横目で見た後鼻で笑い、再度菱垣さんに訊く。
「…………もう一度問おう。骨譟菱垣、『
「行かないよ。ボクは今の生活が好きだから、ねェ?」
「…………そうか。ならば仕方あるまい……力づくで引き入れるまで」
「あっは! やっぱりそうなるよねェ? ……卯月、
「…………
「え、ちょっ卯月、さ……ッ!?」
ヒュッドガガガガガガガッ!!
菱垣さんが卯月さんに指示を出したと同時に激しい弾幕が響く。無論相手の男性が攻撃を開始したのだ。
「あっはは〜面倒臭いねェ……」
菱垣さんはそう言って狐の様に笑うと鉄扇で全ての弾幕を地に落とした。その間に卯月さんが僕を抱えて二人から距離を取る。
──こうして狂人たちの
片方は狐のような男性、片方は独眼の狼の様な壮年男性。二人の狂人が捲る運命の
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