エピローグ

 そっか〜シザードール、捕まっちゃったんだね……都合悪い時に上手く繋げやすいから、便利だったのに。


 使いようによっては色々とうやむやにできそうだから、ミーがわざわざ「色々と拷問してる」とかのに。労力の割にはさほど利用できなかった……もう少し活用したかったなぁ〜


 まあでも、特にそれを必要とする依頼はなかったのが不幸中の幸い——とは言っても、また都合のいい便利なものを見つけてくればいいだけの話なんだけどね。

 んで……解決したのは、明羅高校の男子生徒2人とアーバンレジェンズの記者、か。ほぉー、なかなか面白い組み合わせだね〜覚えておこーっと——おっ、電話だ。


「もしもし〜?」


ですが』


「あぁー、どうもどうも。どうかしましたか?」


『というと?』


「いやいや深い意味はないですって。矢柄組若頭さんからわざわざ電話がかかってきたので、どうしてかな〜と思いまして」


『ちょっとお伺いしたいことがあるんです』


「なんでしょう?」


『警察に松中の内情を知らせたのは——仕向屋さん、あなたですか?』


 ピキッ


「えぇ……そうですよぉ……」


『私は、松中組の取引を妨害してほしい、とだけ依頼したはずですが』


「確かにぃ、日岡さんからはそれだけでした。けどね、それより少し前に別のクライアントから依頼があったんですよ。『松中組を解散させて欲しい』っていう依頼が。だからぁ、ミーがラウンドは松中組のフロント企業だって警察に通報したってワケです。なのでね、ミーがやり過ぎたわけじゃないんですよ〜」


『そうでしたか、分かりました』


「あとぉ〜ついでにいいですかぁ? どっから聞いたか分かんないですし知りたくもないですけどぉー、仕向屋って呼ぶのはやめてくださいますかねぇ〜? ミーね〜、その呼び名大っ嫌いなんですよぉー」


 これは仕事、これは仕事、これは仕事。スゥー……


『それは……知らなかったとはいえ、申し訳ありません』


 ハァー……落ち着いた。うん、これならいける。ミーならいける。深呼吸ってのは有能だね。


「知らなかったんなら、いいですよ〜でも、今度からはよろしくお願いしますね」


『もちろん。では、代わりになんとお呼びすればいいでしょうか?』


「まー色んな名前が出回ってるみたいですけど〜、依頼人のお望み通りに事を仕立てるので、“”なんて呼んでいただけますと、ミー個人としてはヒジョーに嬉しいですね、ええヒジョーに」


『分かりました。では、テーラーさん、報酬はどうお支払いすれ——』


 「その前に」まだ訊きたいことがあるんだから、そんな急かさないでよん。


『何でしょう?』


「これからも末永いお付き合いのほどを宜しく申し上げたく、先代から引き継いだ2代目組長さんにぜひともご挨拶をしたいんですが……」


『申し訳ありません。只今不在でして』


 チッ


「あーそうですかぁ〜それは非常に残念ですが……でも仕方ないですもんね。ではまたの機会に、ということで……」


『ええ。話は私から通しておきます』


「ぜひともよろしくお願いします。では報酬の支払い方法についてですが——」




 「ではこれからもどうぞご贔屓に」ミーは電話を切る。


 あーあ〜失敗か……一切情報が出回っていない2代目について知りたかったんだけどなぁ〜


 それにしてもあの日岡っていう若頭、上手く転がせない。最初話した時から思ってたけど、どうもこっちのペースに持ってきづらいんだよね。

 さすがは、5・6・70代の老害ジジイをはねのけて、40代で矢柄組のナンバー2に就いただけあるよ。非常に優秀だ。でも絶対友達少ないタイプだよ、アレ。


 ミーはこの島の、表と裏を知っている。全てなんてそんなおこがましいことは言わないけど、その量と質は誰よりも知っている。というか、知らないといけない。

 じゃないと、希望通りのは作れないからね。


 さーて……次の依頼は確か——そうだそうだ……物騒な依頼だ。危険が伴うから、細心の注意を払わないとだね。 


 んじゃまぁー早速取り掛かる——前にタバコを一服……あれ?——あっ。


 ハイライト、終わってた……

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