第一章 哀恋歌〜あいれんか〜

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庶民の子として育った神の子は、農民たちの慎ましやかな生活を目の当たりにする。

一見、貧しく、希望の見えない絶望的な日々。

しかし、そこに見たものは、貧しさの中でも力強く、精一杯生きようとする人々の姿だった。


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第一章 哀恋歌〜あいれんか〜



子供たちは明日あすをつかもうと

夕焼け空に手のひらをかざし

今夜の夢を楽しみに

薄いしとねに身をうずめる


つぎはぎだらけの麻衣あさごろも

最近少し窮屈で

駄々をこねている幼いあの子が

今夜も叱られる


ああ

この世をば

長く渡ってきたけれど

いまだ答えは見つからぬまま


ああ

僕たちは

その瞳濡らす涙さえ

いまだ乾かすすべさえ知らぬ




娘たちは祭りの夜に咲く

恋しい人の背を求めながら

踊りの輪の中舞い乱れ

朝がくるまで蝶になれる


あかぎれだらけの細い指は

最近夜風が傷に染みて

愛しいあの人の黒髪を

今夜も結えない


ああ

この世をば

長く渡ってきたけれど

いまだ答えは見つからぬまま


ああ

僕たちは

その手に滲む血潮さえ

いまだとどめる術さえ知らぬ




夢追い人の男たちは

最近夜風が冷たくて

愛しい人をいだかずには

今夜も眠れない


ああ

この世をば

長く渡ってきたけれど

いまだ明日は見つからぬまま


ああ

僕たちは

この胸を焦がす怒りさえ

いまだ抑える術さえ知らぬ



ああ

僕たちは

いまだ夢見る術さえ知らぬ

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