第14話 警戒と遭遇
僕は宮園加恋のポケットから手錠のカギを見つけ手錠を外した。
そのほかにも何か持っていないか探してみると持っているたのはスマホとこの地下室の鍵だけで、他にめぼしいものは持っていなかった。
僕は改めて気絶しているであろう宮園加恋を見下ろしていた。
さっきまで緊張していたためか忘れていた、憎悪と殺意が再び湧いてくる。
この女のせいで僕は罪のない少女を自分の意志とは関係なく、しかも目の前で爆破するところ見せつけられたのだ、こんなことは人がやっていいことではない。この女にもそんな絶望を味合わせてやるべきだ。
そう考えたところで僕はかぶりを振って今の考えを消そうとする。
確かに復讐したい気持ちはある、だけどそんなことは僕には荷が重い事がようやくわかった。
僕には憎悪に身を任せてやりたいことをやる、そんなことできるわけがないのだそれは正義感なんてものではない、ただ僕が臆病で意気地がなくて他人の眼ばかり気にしてる人間だからだ。
そして今はそんなことをしている時間がない。
なぜならさきほど彼女から取り上げた携帯の電源ボタンを押すしてみたところ、非通知で着信が来ていることが分かったのだ。そして電話をかけようとするも電話回線の接続を切ってしまっているようだった。
パスワードが設定されているためにそれ以上スマホの中をのぞくことはできなかったが、もしかすると共犯者からの電話なのかもしれない。
僕は160cmで50kgぐらいだが、女性一人で運ぶのは結構大変だろう。
共犯者がいてもおかしくはない、改めて考えてみれば僕が監禁されている間にも電話は何度もかかっていた、もしかするとそれも共犯者からだったのかもしれない。
僕は慌てて宮園を後ろ向きで柱に両腕を回すようにして手錠をかける。
だけどその時にもあまり触れないように細心の注意をする。
爆発するのを見るのもさせられるのも二度とごめんだ。
そんな風に作業をしていると結構な時間作業をしていることに気付く。
早く次の行動を起こさなければならない、上階で吠えている犬の事も気になる
僕は部屋の扉を開けて外を恐る恐る見る。
扉の外は電気をつけていないため暗いが、今いる部屋が明るいため大体の部屋の配置がわかる。
左手側にトイレの扉と上階に上る階段があり、右手にはクローゼットと見られる扉が奥まで続いているそして奥にはまた扉がある。
僕はすぐに扉から出ていこうとし、未練がましく一度だけ振り返り宮園の様子を見る。
宮園は柱につながれたまま、ぐったりと項垂れており関節が壊れた人形のようだった。
ここを脱出した後に救急車を呼ぶべきだろう、最後まであの女の気持ちはわからなかったしわかりたくもなかった。
でもだからといってこれ以上誰かを殺したくはなかった。
僕は先を急ぐように階段を上る、階段の上の方は光が届かないために真っ暗になっているが手すりにつかまりながら一歩づつ上っていく。
上りきったところでも辺りは真っ暗なままで困惑するも、縦に細長いうっすらとした光があることに気付き今いるのが部屋の中であることに気付く。
細い光を目印にしながらゆっくりと近づいていく、どこにもぶつからないことから考えて行く手を邪魔するようなものは何もない様だ。
僕は細い光をなぞるように触り、近くにあるであろうドアノブを探す。
するとすぐにドアノブであろう固い感触に触れることができた。
警戒しながらもゆっくりとドアノブを回す。
ゆっくりと開いたドアの隙間を覗き込み、危険がないか確認する。
扉の外はもう夕方で太陽は落ち切ってはいないがかなり暗くなっていた。
幸い近くには誰もおらず僕は思い切って扉の外に出る。
家の中はよく片付けられており、家主の性格がうかがえる。
右手には二階に上がるための上り階段、そして近くには黒皮の椅子が置かれ、油彩画そして大きな花が飾られている。
左手側には計3つの扉、二つにはトイレとバスルームという表記がされているためわかりやすいが、もう一つの扉は引き戸でガラスがついているだけで何の部屋かわからない。
そして一番の本命は右の正面にある大きな両開きの扉だろう、間取りを仕切るときに使われるようなタイプなためこちらが玄関だと勘でしかないが当たっていると思った。
僕はほっと胸をなでおろす、ルージュは犬がいると言っていたが犬とはまだ遭遇していない。
一階に出た瞬間に襲われることを考えていた僕は気が抜けてしまうが、犬がいることは確実なため、改めて気を引き締める。
僕は本命であろう両開きの大きな扉の方に行き、取っ手を触り右にひこうとするが扉はびくともしない。
同じように反対側も試みるも結果は同じだった。
僕は思い切って体当たりしてみるも扉は相当頑丈で、壊すにはかなり時間がかかりそうだ。
時間をかけるのは不味い、宮園の共犯の人物はいつ現れてもおかしくないし、宮園が僕がわからないような方法で手錠をはずし僕を追跡してくる可能性もある。
とるべき道は二つ、二階に上って窓から飛び降りるか、一階の行ってない部屋に行き窓か勝手口のようなところから出るかだ。
僕は確実性を取り一階から行くことにする、その方がいいとこの時は疑わなかった。
そう一階の開けていないガラスが入った引き戸を開け、都合よく勝手口を発見した僕が喉を鳴らす音に気付き振り向いたときに、警戒心を顕わにした体高90センチに届こうかという大きさのオスのジャーマンシェパードが、今でも噛みつける位置にいるくことに気付くまでは・・・。
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