輝石と卵
@texxle
第1話
ひんやりとして薄暗い⋯⋯手をかざすと、ほの白くみえる。
どこかで、水の滴る音が、規則正しく優しく響く。硬いものにあたって、流れていく水の涼やかな音もずっと途切れることなく響いてる。
少しずつ、前に進むと柔らかい光が、誘う様に明滅し、囁くようにお互いを照らし合う。
何百個という卵が、一定の間隔を、もってならんでいる。
白色の中に、きまぐれのように虹色がゆれる。
暗い天井や壁、水を幻想的に照らし出す。
ここは、龍とよばれる卵の眠る場所。
この上には、龍を祀る地下神殿そして、お城がたち、城下町へと広がる。
その昔、宇宙から光の姫と龍が降り立った場所。
光の姫は、特殊な能力で、龍の力を引き出し荒地であった土地に肥沃な大地をつくったとされる。それは、龍の産卵場所として選ばれた証。龍の本能による、巣作りの一環であったが、結果として人には多大なる恩恵をもたらした。
姫の能力には、宝石や貴石、鉱石などを生み出しそれを纏い、武器とし、外敵から卵たちをまもった。そして、光の姫は同時に龍の糧でもあった。
糧といっても、直接食べるわけでなく、少女特有の清廉で快活な波動を感じとり、それが楽しい感情であればあるほど、卵にとってはよい糧となるらしい。
特殊な生命体である龍にとって、光の姫の快活な生命エネルギーとの関係は、きってもきれないシステムとして組み上がっていた。お互いを補完するものとして。
卵は光の姫の生命エネルギーを吸収し、順調に育っているようにみえる。といっても、龍が卵から孵るのは、300年に一度あるかないか、人の生では、立ち会えれば僥倖ということになるだろう。
その豊かな大地に人々は、集まりやがて王国が出来上がった。光の姫は、今も龍とともに地下深くにいて、卵を守るためにそばにいるという。
ただ、最初にこの地に、おりたってから数十年後に龍ととも眠りについた。
光の姫の子孫たちが、王国を築く頃には、龍の糧である少女たちの生命エネルギーが満ちあふれ、常に、卵たちにエネルギーがいきわたるようになった。そして、その副作用として、この王国の少女たちには、様々な能力が付加されることになる。
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