とても怖かったです。具体的に何がどう怖かったのかを書き記すために改めて読んでみたら恐怖で寒気がして震えるほど、気持ちの芯を慄かせる恐ろしさをまとった作品です。
エピソードそのものはとても分かりやすくて、理屈で考えると「なるほど確かにそうだ」と納得できるのですが。突然真後ろからわっと脅かされるような恐怖ではないのですが。じわじわくる、ともまた違うのですが。
たった一度の、さほど重くなかったはずの行為が。
続いていくはずの日常を、そうでないものにしていく。
そしてごく当たり前のような行動が。
とどめを、刺して。
まるで自分の周りにもそんな見えないスイッチのようなものが潜んでいるのではないかと恐ろしくなる。そんな物語です。
怖いけれど、絶妙な身近さに舌を巻く。その感覚を味わってみたい方は是非ご一読を。