第28話 恩返し

...神姬との再開を果たして2学期が始まった

始業式の日

俺が先に家を出て真横にある神姬の家に神姬を呼び出す

えげつないくらい眠そうな顔をして家から出てくる

おっさんかお前は

神姬「おひゃよ...ふぁあああああ」

俺「お、おはよ...」

あぁ、神姬の制服姿はやっぱり...可愛い

押し倒したくなるこの年頃

まぁ、今そんな事やったら俺が社会的に殺されるからやらないけど

そして一緒に駅に向かう

ホームには制服を着た学生達がたくさん居る

...

俺「...」

神姬「...居らん...ね」

俺「...あぁ」

そこに居るはずの佐奈と凛は...もう居ない

...でも、もう泣かない

佐奈達は俺達を支えてくれてる

そう信じている

そしていつも乗る列車が来る

中には大勢の学生達が居る

そんな中空いてる席があった

しかも2人分

そこは...元々光と澪が座っていた席だ

...開けてくれてたのか

恐らく神姬も感づいてるであろう

その席に座って熊野に着くまでずっと神姬とベラベラ喋っていた

少ししてから列車は熊野に着いた

あぁ、久しぶりの学校か...

神姬「頑張ろっ」

俺「あぁ、そうだな」

俺と神姬はそう頭に打ち込んで校門に入る

いつも通り他のクラスの女子から「おはよっ♡」と挨拶を頂く

ありがとうございます

そして教室に入りいつもの席に座る

何だろう、寂しい

そりゃ当然だ

後ろと前に居るはずの3人が居ないからだ

すると担任が入って来て朝礼を行う

...あれ?

何と別の人が委員長をしている

特に何も無かったかのように朝礼を終えた

俺と神姬は不思議がっていて仕方がなかった

すると担任がこっちに来た

担任「...俺も驚きだ」

俺「佐奈達が居た記憶は俺達と小町先生だけって事ですか?」

担任「...あぁ、名簿からも名前が消えていた。何も無かったかのようにな...」

本当に何も無かったかのように消えている

これは一体...

そして終業式、学年集会を終える

...何だろう

光の席を見てると光が前に居る気がした

今...そこにいるのか?

何だかその気がした

神姬「...見えたん?」

俺「何か...居そうな気がして...」

神姬「ふふっ、一緒やな」

俺「...本当に見守ってくれてるんだな」

神姬「ほんまやね。...って!光ちゃんら疑うんか!?」

俺「えぇっ!?い、いやぁ...別にそんなことは...」

神姬「ふーん...」

俺「何だよその目!!疑ってんのかよ!!」

神姬「当たり前やろ!!」

俺「はぁ!?最低だな!!」

神姬「あぁ!?何やとごるぁ!!やるんかいや!?あぁっ!?」

俺「何だとこんにゃろ!!」

俺神姬「ふぬぬぬぬっ!!!」

周りの生徒「ハハハハ!!!」

何とか...いつも通りの楽しい学校生活が送れそうだな

そう思えた。


そして時は過ぎ、10年が経った


27歳になった俺


俺はダンサーになった

澪のペン回しと俺の得意なタップダンスを組み合わせたダンスをしている

そのお陰で世界でも活躍するプロダンサーになった

神姬は鉄道写真家になった


この日は...大切な日だ


2027年 8月17日

俺と神姬は今とある列車に乗っている

223系に乗っている

新快速、快速、普通等に使われてる車両だ

しかし今回は違う

普通、快速、新快速でもない

その列車は今姫路駅を発車した

ガタンっ...ゴトっ...

勢いよく加速する

俺は今、12号車を歩いている

父と一緒に歩いている

そして止まる

俺の前には司祭が居る

後ろには親、担任と小町達が居る

「...の入場です!」

少しすると神姬も12号車に来た

父と一緒に来た

そして父がお辞儀をしてその場を離れた

俺と神姬2人になった

そして皆で聖歌を歌い、聖書を朗読し、祈祷する

そして...司祭が俺と神姬に聞く


「永遠の愛を誓いますか?」



「はい、誓います」


お互いそれぞれそう答える

やべぇ、泣きそう

そして指輪を交換して誓いのキスを交わす

司祭が結婚宣言をして聖歌を斉唱して俺と神姬はバージンロードを歩いて退場した

気が付けば泣いていた

隣の車両にはカメラマンや記者がたくさん居る

...そう

俺と神姬は今日...


「ご覧下さい!プロダンサーのRyoさんと鉄道写真家月詠さんの結婚式が今、終わりました!!」


結婚式を開いたのだ

ただの結婚式じゃない

電車での結婚式だ

それにこの列車の表示幕には「結婚新快速」と表示されている

そして記念撮影をしたり記者の質問に答えていた

するととある記者から質問を受けた

ん?

どこかで見た事あるような...

そして質問を終えるとその記者から名刺が渡された

朝日新聞社...今津猛...

今津...?

今津「覚えてますか?恋山形でお会いしたのを...」

俺神姬「あぁ!」

俺「確か明石の...」

そう、思い出した

この人は俺と神姬の初デートで行った恋山形駅でインタビューした時に居た人だ

今津「思い出してくれましたか」

俺「へぇ、記者になったんですか」

今津「はい、こうやってまた会えたのは嬉しいです」

俺「これからも記者頑張ってくださいね」

今津「はい。どうか御二方もお幸せに」

そう言って次々と質問に答えて行く

そして質問を終えて食事会に移る

いやぁ、電車で食事会なんて初めてだな

ゾロゾロと席がある

その中に1つ、座ってもいないのに空いている席がある

そう、実は座っているが一部の人にしか見えない

そこに座っているのは...

光「見ろよあのだらしねぇ顔、あれで本当に27歳か?」

澪「もっと凛々しく行かんかいボケ!!」

善子「ほんとそうですよ!!」

優希「プロダンサーになったんだろ!!」

佐奈「そーだそーだ!!」

凛「ほんまこれやから遼は...」

陽矢「お姉ちゃ」

澪「その呼び方やめい」

俺「うるせぇな...」

佐奈達だ

皆顔付きは大人だ

実は5年くらい前から俺にも霊が見えるようになってきて今ここまで見えるようになった

光達は俺と神姬にとり憑いていた

悪い霊では無い...と思う

澪「お前らが一番遅いんちゃうんか?結婚すんの」

善子「そうですね。担任の先生も結婚しましたし、私達全員結婚してますね」

俺「俺が一番遅いのか...」

優希「ま、良かったじゃねぇか。俺達の分幸せになれよ!」

愛「大丈夫でしょ。遼君なら何でもできるわ。馬鹿なんだから」

俺「その一言が余計なんだよ...」

すると担任が俺にある1通の手紙を渡してきた

担任「お前への手紙だ。結婚式の時に読んでくれってことだ」

俺「ほう...?」

手紙を開けて中を読む


「ご結婚、おめでとうございます。

今回、私は結婚式に参加出来ないため、お手紙を送らせていただきました。今まで色々あったかと思われます。そういう時にこそお互い支えあって頑張ってください。そうすればきっと幸せが待っています。この手紙が読まれる頃には私はもう癌で亡くなっております。腕輪、大切に身に付けておいてくださいね。短い文になりますが、心からご結婚おめでとうございます。御二方の幸せを願っております。

林田商店店主 林田 時子より」


あの腕輪の人...?

確かに腕輪には「林田商店」と書かれている

覚えててくれたのか...

...ははっ、嬉しすぎて泣いていた

すると俺の父と母がこっちに来た

父「おめでとう、遼」

母「立派になったわね」

俺「ありがとう...ここまで来れて本当に良かった」

母「神姬ちゃんも綺麗よ」

神姬「ありがとうございます。わたしと遼、2人で頑張ります」

光「お前ら2人ならどうにかなるだろ。馬鹿と天才(大笑)のコンビはいいと思うがな」

俺神姬「誰が(大笑)や」

小町「おめでとう、遼君」

担任「いやぁ、教え子の結婚式を見るのは最高だな!」

愛「趣味悪っ!」

担任「ど、どういう事だよ!!!」

俺達「ハハハ!!!」

良かった

本当に良かった

俺と神姬の夢を叶えることが出来て

恩返しする事が出来て良かった

この先も一緒に頑張ろう

俺と神姬は、強い気持ちで結ばれている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

明日 会えるよね 祇園四条 @ASR223

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ