第10話 6日目

次の日


学校の昼休み

教室で昼ご飯を食べていた時だった。

神姬「眠い」

俺「俺はお前の3倍眠い」

神姬「誰がそんな口使てええ言うた?」

俺「お前」

神姬「おい」

俺「なんだよ」

神姬「好き」

俺「俺も...ん?」

がらっと教室のドアが開く

昨日のヤバイ奴らの内のリーダー、周参見が入ってきた。

周参見「邪魔すんでー」

俺神姬「邪魔するんやったら帰ってー」

周参見「はいよーって何させてるんじゃコラ!」

俺神姬「おおー新喜劇ネタやってくれたパチパチパチ」

周参見「昨日はよくもやってくれたなぁ...」

俺神姬「何もしてない件について」

周参見「いいから廊下に出ろ!」

仕方なく俺と神姬は廊下に出る

すると昨日の6人メンバーが揃っていた。

改めて見ると悪そうな顔をしている。

クラス、他のクラスのメンバーの生徒が俺達を見守っている。

すると6人の内の女子が俺と神姬に近づく。

「忍海光(おしみ ひかる)」2組の生徒。

同じクラスで俺の前の席の奴らしいが、座った所を見た事が無い。

よく居るバイク乗りのクールなお姉さんみたいな感じのヤツだ。

忍海「おい!昨日はよくもやってくれたな」

俺「何もしてない件についt...」

忍海「だまれ!アタシの前に立つということは死を意味してるんだぞ?」

俺「ふっ...」

忍海「おい!何笑ってんだよ!こっちに来い!」

俺は忍海の少し離れた所に立つ。

忍海は

「1発で終わらしてやる」

と言いながら蹴ろうとしてきたが、俺は中学の頃柔道をやっていたのでそのまま得意の浮き技をした。

鮮やかに決まった。

そして忍海はすぐにメンバーの元に逃げていった。

周参見「おい!今のはずるいだろ!」

俺「いや、ふっかけてきたのはそっちだろうが」

???「俺に任してください!」

出てきたのは1組の「犬山瞬(いぬやましゅん)」

体格は力士並だ。

犬山「今からお前をぶち倒す!」

神姬「...」

犬山「おい!聞いてんのか!?」

神姬「...zzz」

神姬は立ちながら寝ていたのだ。

俺は神姬を叩き起す。

神姬「はひっ」

犬山「この犬山様の前で立ちながら寝るとは...いい度胸じゃねぇか」

神姬「ふぁあああーーー」

目をかくほど眠そうな神姬

犬山は神姬に殴りかかった。

「よいしょっ」

しかし神姬はさっと避ける

犬山は容赦なく殴りにかかる

神姬はスラスラと避けていく

そして犬山が神姬のお腹に殴ろうとした時、神姬はジャンプして犬山の顔に蹴りを入れ、バク宙のように一回転して着地した。

野次馬からは拍手が舞い降りた。

そして予鈴が鳴った。

忍海「周参見...どうする?」

すると周参見は俺達に

「放課後、体育館の横の倉庫に来い。そこで決着をつけてやる。行くぞ」

と言い残しメンバー6人はこの場を去った

そのまま俺達はさっと教室に戻った。

そしてクラスの皆から拍手が舞い降りた。


その後なんとか先生にバレなかったようで5.6時間目の授業が終わり、俺達はすぐに倉庫に向かった。

すると少ししてから周参見たち6人が来た。

周参見「張り切って早く来てるじゃねぇか」

神姬「ふっ、わたしらを楽しませてくれる思てはよ来ただけや」

俺「俺は関係無いのに...」

周りを見ると他のクラスの奴らが見ている。

委員長もいるんだ。

佐奈凛も居る。帰れよまじで。

周参見「さぁ、始めるか」

俺「え?」

周参見「何?分かってないのか?試合を始めるんだよ」

俺「試合...?」

周参見「俺達は6人、お前達は2で戦うのさ!ま、俺達が絶対に勝つけどな!ハハハ!」

おいおい、汚すぎるぞ。

しかも元は俺達何もしてないのにした事になってるし。

すると

神姬「遼」

俺「ん?」

神姬「ここはわたしに任して」

俺「は、は!?何言ってんだよ!」

忍海「...」

神姬「遼に傷を付けたくないから」

俺「...え?」

俺はさりげなく忍海が反応したのを見逃さなかった

神姬「だから、ここはわたしに任して」

神姬の目がいつもより凛としている。

俺は仕方なく神姬に任せることにした。

でもなんだろう、不安な気持ちはあまり無い。

周参見「フハハハハ!!!!彼氏を傷つけたくないから代わりに彼女が行くと?ハハハハ!」

瞬「余裕だな!ハハハハ!」

???「さっき負けてたじゃねーか!」

忍海「...」

周参見「忍海?」

忍海「...あぁ、すまない」

周参見「どうした?お前さっきから変だぞ?」

忍海「いや、何も」

そして1対6の「試合」が始まる。

神姬は着てたブレザーを脱ぎ、俺に投げた。

神姬「ちょっとの間持っといて、すぐ終わらしたるから」

俺「お、おう」

周参見「始め!」

そして野次馬が見守る中、試合が始まった。

神姬はスカートのポケットに両手を突っ込んで相手をじーっと見ている。

周参見「来いよ」

神姬「そっちから先にどうぞ」

???「なら行かしてもらうぜ!」

こいつは1組の「厚狭 太郎(あさ たろう)」だ。

丸坊主だ。

厚狭は神姬の前に立つ。

すると厚狭は神姬に殴りかかる。

神姬は厚狭の拳を片手で止めた。

ピクリとも動かない、そして神姬は厚狭の拳を強く握り始めた。

「うあああ!!」悲鳴を上げる厚狭

そして神姬は拳を離した直後、怯んだ厚狭の肩を両手で持ち「せーのっ...はい!」と、強烈な頭突きを食らわせた。

厚狭はその場で倒れた。

神姬は全くどよめいてない。

にしてもあの頭突きは凄かった。

周参見「なんだあの頭突き...」

神姬「息してるから大丈夫やろ、死ぬ2.3歩前で止めたったわ」

周参見「ちっ...」

神姬「もっとさーわたしを楽しませてよー」

神姬が煽る。

???「仕方ねぇなぁ、行くぞ」

???「任せろ!」

1人目は3組の「日根野 翔(ひねの しょう)」髪型はモヒカンで、刺青を入れている。

そして2人目は1組の「今宮 戎(いまみや えびす)」南海電車の駅名かと思うが人名だ。

もう一度言う、人の名前だ、南海(ry

2人は神姬に突っ込んでくる。

その後から忍海、周参見、犬山と続いて来る。

しかし神姬は動揺せずに

「楽しなってきたやんか」

と、言いながらぶつかるように走る。

そして突っ込んでくる日根野と今宮。

神姬は2人を避けてその後の3人の内の犬山に標的を向けた。

俺「まさか...」

神姬は体当たりの姿勢を取る。

犬山も構える。

「はぁーーっ!」

ドン!

ぶつかった。

立っているのは神姬だ。

犬山は4mほど飛んだ。

女子とは思えないほどの衝撃だ。

そして他の4人は一気に神姬に近寄る。

少し風が強くなってきた。

すると神姬は地面の砂を4人に向かって足で蹴り上げた。

砂煙のせいで一瞬視界を奪われる4人。

そこに神姬が今宮の頭にハイキックを食らわした。

周りは歓声を上げる。

そして日根野のキックをかわし、日根野が怯んだ瞬間に強烈なグーパンを食らわし、2人に回し蹴りを食らわせた。

短時間で6人の内、無傷なのは2人になった。

残ったのは周参見と忍海。

神姬「一気に減ったなぁ」

周参見「ちっ使えねぇ奴らばっかだ...」

忍海「アタシが行く」

忍海は神姬に跳び蹴りを仕掛けるが、当たらない。

そして神姬は忍海の右腕を掴み、首を腕で絞め上げた。

忍海「うっ、くっ、あぁっ、うぅ...は、離せ...」

忍海は身体をねじらせたり、脚をばたつかせたりして、抵抗したが、全く離れない。

神姬「さっさ落ちろや...!」

神姬は絞める力を強くしてるが、落ちる気配は無い。

すると

神姬「ん?」

そこに周参見が神姬に強い蹴りを入れた。

忍海はその場で倒れ込み、咳き込んでいた。

神姬は吹っ飛ばされて制服が砂まみれになった。

そこに周参見がジャンプして神姬に飛びつこうとしたが、神姬は素早く交わした。

しかし、周参見は一瞬のスキを見つけて右手を取って神姬の首を腕で絞め上げた。

周参見「ハハっ!このまま絞め殺してやる!」

神姬「うっ...くっ...」

少し苦しそうにしている神姬。

佐奈凛たちは絞められている神姬を見て鼻血を垂らして見ている。心配しろよ。

すると神姬はパンツの横に引っ掛けていた木を周参見の肩にぶっ刺した。

もうちょっと他に引っ掛ける場所なかったのか?

周参見「あああ!!!」

神姬「わたしのこと甘く見すぎじゃボケが!」

そして神姬は周参見の顔面に連続で跳び蹴りを食らわした。

そこに後ろにいた忍海が神姬の背中を殴ろうとした。

しかし神姬はそれを察知したのか、さっと振り向いて忍海の右の拳を握る。

忍海「な...なぜ分かった!?」

神姬「あんた女の割には強いやんけや」

忍海「うっせぇ...うっせぇんだよ!!!」

忍海は神姬に左で何度も何度も殴りかかる。

しかし、神姬には当たらない。

そして神姬は余裕の表情で忍海の左の拳を掴む。

忍海はものすごく驚いている。

忍海「離せ!離せ!くっ...このぉっ離せ!」

神姬「さぁどうする?両手使えへんようになったけど」

忍海「離せ!いいから離せ!」

忍海は腕を全力で動かすが神姬はビクともしない。

神姬「教えたるわ、どうするかを」

と言って忍海の両拳を握りながら脚を使って来るんと忍海を転倒させた。

そして立ち上がった瞬間に神姬は忍海に強烈なアッパーを食らわせた。

「ぐはぁっ...!」

2m程飛んだ。

かなり痛がっている。

お腹に手を当ててもがいている。

そして残ったのは周参見だけだ。

周参見は少し驚いた顔をしている。

神姬「なんやまだ1人残っとったんか」

周参見「...ちっ」

周参見はかなり疲れているが神姬はまだまだ余裕そうだ。

周参見「これで終わりにしてやる...」

神姬に周参見が蹴り上げようとしたが、神姬は交わした直後に周参見の足を引っ掛けた。

「うわぁ!」

バタッと転ける周参見

すぐに立ち上がろうとするが、神姬は上半身が立った直後の周参見のお腹に強烈なボディーブローを食らわした。

「ぐはぁぁああ...!」

周参見は2m程飛んで倒れ込む。

しかしまだ立ち上がろうとする。

それを見た神姬は「チッ」と舌打ちしながら周参見を蹴り上げる。

そして神姬は腕組みをして

「あんたらの負けや」

と周参見に言い放った。

「ま...まだいけ...る...」

立ち上がろうとする周参見だが、腕に力が入らないのか、身体が上がらない。

神姬「もうそこら辺にしといたら?まだやるって言うんやったら付き合うてあげてもええけど命の保証は無いで?」

周参見「く...くそっ...」

神姬「分かった?今日の喧嘩が無意味やったって事」

周参見「...」

神姬「わたしは人に罪擦り付けて喧嘩する奴は嫌いやねん、まさに今のお前らのことやわ」

周参見「...」

神姬の「せやからまともな友達も出来ずにそうやって調子乗り始めたやんやろ?」

周参見「...」

周参見はずっと黙っている。

神姬「それにさ、なんかヤンキーになりたくてそうやってイキったことしとんか知らんけどさ、ほんまもんのヤンキーはこんな無意味な事せーへんねんで?」

ずっと周参見は怒っている

神姬「本物のヤンキーは確かにやんちゃしたりするけど共通するのは人との関係大切にするんやで?」

忍海「...え?」

忍海も神姬を見る。

神姬「さっき自分が言うた事覚えてる?使えへん奴らばっかとか言うけど、人をそうやって将棋の駒にしか使えへん奴はこの先何もできひんで?」

周参見「うるせぇ...お前には関係ねぇだろうが」

神姬「まぁ、わたしと遼は完璧じゃないけどあんたらよりかは断然ましやわ。ね?忍海ちゃん」

忍海「...え?」

神姬「忍海ちゃんはわたしと遼の協調性の強さに気付いたやろ?」

忍海「な、なぜ、それを...」

神姬「わたしはわたしの大切な友達が1人でも傷付く所を見たくない」

忍海、周参見「...」

神姬「だからわたしは大切な友達を守るならどんな手を使ってでも守る。だから代わりにわたしが出たんよ」

忍海「その理由は...」

神姬「遼が傷付くのを、わたしは見たくないからね」

忍海は下を向いて

忍海「ふっ......降参だ」

少し感動していた。

俺はものすごく申し訳ない気持ちが湧いた。

佐奈凛は号泣しまくっている

野次馬達から拍手が聞こえる

すると神姬が俺の方に寄ってきた。

神姬「ごめん、めっちゃ遅なった」

俺「別に、何年待っても文句はないよ」

神姬「ありがと」

俺はブレザーと荷物を渡した。

佐奈凛「神姬ちゃあああん!!!」

2人は神姬に抱きつく。

佐奈凛「お疲れ様!」

そして4人で帰ろうとした時、忍海が神姬の前に立った。

忍海「その...今日は悪かった、何も考えずにこんなことしてしまって...」

神姬「別にええよ、わたしの言うた事わかってくれたらそれで十分やわ」

忍海「あ、ありがとう。じゃあ、アタシはこれで...」

凛「ねーねー、忍海ちゃん」

忍海「ん?」

凛「凛らと友達になろ?」

忍海「えぇ!?こ、こんなアタシが...?」

佐奈「そんなマイナスな事言いなさんな」

忍海「え、あ、う、うん...ありが、とう...」

凛「わーい!」

やっと仲間が1人...いや6人増えた。

ほかの5人がからも謝罪が来た。

また神姬にお世話になってしまった。

今度は俺が何らかの形で返せたらいいな。















































  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る