第7話 3.4日目

はっ

目が覚めた

しかも俺とほか3人全員目を覚ました。

時計は午前9時を回っている

外で喧嘩の声が聞こえる

あぁ、そうだ思い出した

ここは通天閣近くの小さな宿だ

このあたりは大阪の真ん中なのに血塗りの男性が出てくるほどやばい場所と言われている。

俺達は宿を出て、大阪駅から帰りの米原行き新快速に乗った。

神姬は先頭車両の前面展望に釘付けだ。

そして数時間してから神姬の家に戻った。

それにしても楽しかった、こんな旅行も悪くないな。

するとバカ2人が死んだような顔で何か手に冊子のようなものを持っている。

それを俺に見せてきた、そこには

「3連休の課題 中3の数学の復習 火曜日提出」

今日は寝れそうにない

最悪だ。

すると神姬が問題をパラーっとめくっていく。

神姬「こんなんめっちゃ簡単やんか、教えたろか?」

凛「神姬ちゃんって人に教えれるほど頭良いのー?」

神姬「一応中学の頃は全テスト平均95点以上やったね」

俺バカ2人「え!?」

驚愕だ。

でもなんでもっと優秀な学校に行こうとしなかったのか。

それを聞こうとしたが、そんな事より課題を終わらせることで頭がいっぱいだったから聞けなかった。

そして神姬の教えで、全員課題を終わらせ、寝たのは夜の11時。

いつも通り登校した。

初めて4人で学校の中で話した。

そして1時間目の授業は数学

今日からやっと普通の授業が始まる。遅すぎだ。

俺はうとうとしていて後ろバカ2人は爆睡していて神姬は俺にもたれかかって寝ている。

すると先生が

「そこー、寝るならこの問題解いてー、ほい、そこのもたれて寝てる君!」

神姬が指名された。俺は神姬を起こす。

ふぁああああと大きなあくびをする。周りが笑い出す。

「はい、この問題解いて?分かってるから寝てるんだよね?」

嫌な聞き方をしてきた。そして神姬はゆっくりと立ち、黒板の前に立ち、チョークを持って黒板に書く

問題は、複雑な因数分解だ

するとスムーズに途中式を書いていく

そして答えを書く、俺の答えと違う。

先生がなぜか驚いている

正解しているのだ。

俺はどこが間違っているのかわからなかった、すると神姬が「ここ」と指を差す

ほんとうだ、間違えている

そして次の国語も寝ていた神姬が指名された。

問題は「かんぺき」と言う字を書けという問題。

そして面倒くさそうに黒板の前に立つ、チョークを持って書く。

また正解だ

実は完璧の璧は「壁」ではない

その後も神姬はスラスラと聞かれた問題を普通に解いて行った。

本当に優秀だ。

しかしなぜこんな普通のレベルの学校なんだろうか、不思議で仕方がない。

5.6時間目は集会。

長すぎる主任の話を聞かされていた。

退屈になった俺は神姬とずっとおしゃべりしてた。

そして俺はあの気になった事を聞いてみた。

俺「なぁ、神姬」

神姬「ん?」

俺「神姬って優秀なのになんでこんな普通レベルの高校に来たんだ?」

神姬はうーんと困っていた。

神姬「後で教えたる」

俺「今教えてくれよー」

神姬「女の子の事情ってやつ」

俺「そんなの関係ねぇさっさと教えやがれ」

神姬「うっせぇ焼くぞ」

俺「すみません」

主任「おい、そこ何喋ってんの?」

神姬「話退屈やから高千穂さんと喋ってましたーー」

俺「お、おい!何言ってんの!?」

主任「何舐めたこと言ってんだ?」

神姬「わたしら生徒が、お!面白そうやな!って思うような話をして欲しいでーすって高千穂さんが言ってました〜」

俺「おまっ!?」

クラス「ハハハハハハ!!!!」

主任「後で職員室来なさい2人共!」

俺「は!?俺も!?」

神姬「後お願いしますわ」

俺「ざけんじゃねぇよ!」

クラス「フハハハハ!!!!」

するとチラチラとこっちを見る怖そうな集団がいた。

俺は目を極力合わさないようにした。

集会が終わって、終わりの会が終わってすぐに2人でこっそりと抜け出そうとしたがあっけなく捕まった。

そして長い説教が終わってから今日の学校は終了した。

その後俺は神姬と一緒に近くのイオンに行った。

今回ちょっとした目的があったからだ。

俺はそのままパワーストーンや開運の石等を売ってる店に行った。

実はここ、隠れパワースポット的な所でここで買ったパワーストーンはよく効果があるという噂があった

神姬「なんでここに来たん?」

俺「俺と神姬のお揃いの腕輪作ろうかなって思ったんだ」

神姬「お揃い...?」

俺「ペアルックってやつ」

神姬「ペアルック...?」

俺「まぁ、俺と神姬が恋人同士だって言う証拠みたいなもんよ」

神姬はたくさんの色の玉に見とれている。

神姬「こ、この玉の中から好きな色えらんでいいの..?」

俺「いいよ、お金の事はきにしなくていいよ」

神姬「えっ、いや、わたしが全部払うって」

俺「えぇ!?き、気にしなくていいからさ、ほらっ選んで」

神姬「あ、あ、ありがとう...」

半泣きじゃないか。可愛いなぁ。

「綺麗...」

神姬は全ての色に見とれている。

そして神姬の選んだ色は「紫」

石の名前は「スギライト」

俺「俺も紫好きなんだよね」

神姬「紫ってなんかええやろ」

俺「ん?スギライトの説明がある...」

するとそれを読もうとしていると店のおばさんがよぼよぼと杖をつきながらやってきた。

おばさん「あなたたち、恋人同士かい?」

俺「えぇ、一昨日付き合い始めました」

おばさん「ほぉ、それはおめでたいことだのぉ。ところで玉の色はもう決めたのかい?」

俺「紫色にしようかなと考えてます」

おばさん「ほぉ、紫かいな。あんたら変わってるのぉ、まさに紫っぽい感じやわ」

神姬「ど、どういうことですか?」

おばさんは語り始める。

おばさん「紫は昔高貴な色として扱われてたんじゃよ。この色が好きな人は感性豊かで想像力も豊か、ミステリアスな人、少し変わってる人とかちょっと性的な事が好きな人が好む色なんよ。それに紫色好きの人恋愛観は「縁ある人とは自然に会う」と言う考えを持ってるんよ」

俺「(俺と神姬にぴったりだな)」

神姬「(わたしと遼の事やん...)」

俺神姬「じゃあ、これd...え?」

おばさん「おほほ、2人とも同じことを思っていたようやのぉ。きっとこの先2人は永遠に一緒やと思うよ」

少し俺と神姬は照れた。

おばさん「このスギライトと言うのは、世界3大ヒーリングストーンの一つとして有名な霊石で、この石は色んな色があるんだけど、この紫特にレアで中々流通しなくてね、最近やっと少し流通し出すくらいレアなんよ。この石が秘めるパワーは色が濃い方が持ち主をマイナスエネルギーから守ってくれる。その逆の明るい色は癒しのパワーがあって、柔らかいエネルギーに変わるんよ。人によってはパワーが強すぎるって感じるかも知れへんけど、あんたら2人ならきっと大丈夫、この石の恩恵を受けられる思うよ」

俺「そんなにレアなのか...」

おばさん「腕輪作るって言うてたんよね?いつもは2000円するんやけどあんたらみたいな恋人同士は初めてやから1つの半額でええよ」

俺「え、い、いいんですか!?」

おばさん「その石代も1つの半額でいいよ」

俺「そ、そんなに...」

おばさん「いいよ。もう今日でこの店閉めるからね...滅多にお客さん来ぇへんから最後にあなた達のような2人来てくれて嬉しいわ」

俺「い、いえ...ありがとうございます」

おばさん「その代わり、彼氏さん、彼女さんを大切にね。彼女さん、あなたは彼氏さんを大切にね。お互い許し合わないと恋はすぐに終わってしまうからね」

俺神姬「は、はい!」

そしておばさんに手作りの腕輪を作ってもらった。

俺が明るい紫、神姬が濃い紫にした。

腕輪の真ん中には、俺と神姬のイニシャルが打ち込まれている。

本当は軽く2万超えるはずだったのに5千円以下になった。

本当にありがとうございます。


帰り道

夕日が非常に綺麗だ

右腕に腕輪を付けて一緒に歩く

中々いい感じだ

神姬「今日は歩いて帰らへん?」

俺「いいよ」

神姬「...ねぇ」

神姬が立ち止まる。

神姬「手...繋がへん?」

俺は少しドキッとしたが無言で神姬に手を差し出す。

神姬は俺の手を握った。

俺と神姬はクスッと笑う

なんだろう、この場面どこかで見た事があるような...

それに紫の玉がついた腕輪...?

もしかして、あの日見た夢...?

俺は思い出そうとしたが中々出てこない

すると神姬が突然話す

神姬「わたしさ」

俺「え?」

神姬「ずっと遼を探してたんよ」

俺「え、え?」

突然の事で俺は何を言ってるのか分からなかった

神姬「元々わたしは神戸に住んでたんやけど、中2の頃に色々あってここに引っ越してきたんよ。遼に会うために」

俺「...」

俺は気付いた

これはあの日見た夢だと

神姬「わたしには親が居らんってことはおばあちゃんから聞いたと思うけど、それが理由で中学の時は仲間外れにされててさ、そっから色々あってもう神戸に住まれへんようになってもうてさ、ここに引っ越してきたんよ」

俺はなんて返していいのか分からない

神姬は話し続ける

神姬「わたしは1人で居るのが嫌やってさ、でも、遼がわたしに言うてくれた事を思い出してなんとか乗り越えてきたんよ」

え?俺が神姬に話した?

俺と神姬は既に1度会っているという事?

俺「え?俺が話した...?どういう事?」

神姬「覚えてない?多分8年前くらいに女の子が川で溺れてて流されそうになった事」

俺「8年前...あぁ、覚え...!?」

神姬「思い出した?」

そう、あれは8年前の夏の事だ

俺の家族とキャンプに出掛けていた

そして父親と池で釣りをしていると奥の方から「助けて!」と小さな女の子の声が聞こえ、父親がすぐに助けに行き、なんとかその子は助かった。

そしてその子の祖父祖母がお礼を言いに来るとなぜかその一家と一緒にキャンプする事になった。

そしてその子とその日のうちに仲良くなり、一緒に楽しく遊んだ。

俺「その子の名前って...カムイ...?」

そう言うと神姬が笑う

神姬「そう、あれわたしやで」

俺は全てを思い出した

色々思い出して泣きそうだ

神姬「あの時わたしと別れる前にさ、なんて言うたか覚えてる?」

俺「あぁ...覚えてるよ」

俺はあの日列車で帰る時、発車時間まで神姬とずっと椅子に座って話していた

神姬「なぁ、遼...」

俺「ん?どうしたの?」

神姬「今日で...お別れやね...」

俺「そうだね...でも、また会えるよ」

神姬「...え?」

俺「だってさ、俺と神姬「ともだち」じゃん!だからまたどこかで会えそうな気がするんだよ!」

神姬「じゃあ、その時会えたら結婚しよ?」

俺「うん!いいよ!俺と結婚しよ!」

...

...

神姬「ほんまに...会えたね」

俺「でも、なんでだろ...」

神姬「ん?」

俺は神姬に気が付けばほぼ毎日神姬の夢を見る事を話した。

すると神姬は笑う

神姬「夢にその人が出るとその人に会いたい、もしくはその人が自分に会いたがってる証拠らしいよ」

俺「じゃぁ、俺が毎日神姬の夢を見たと言うことは...それが理由?」

神姬「実はわたしもほぼ毎日遼の夢を見てた。今わたしと遼が居るこの時間の夢も」

俺「え!?じ、じゃあ同じ夢見てたって事...か」

あの日見た夢は俺と神姬が作り上げた未来だったという事か

俺「つ、つまり神姬は俺がここに住んでるって事は夢を頼りにしたってこと?」

神姬「せやで、めっちゃ大変やったわ」

俺は...

俺は本当に情けないやつだ

神姬は中学の時はずっと1人だった

親が居ないと言うことを理由に仲間外れにされていた

それなのに神姬は...俺のあの時言った言葉を思い出してそれを乗り越えた。

俺が...俺がもっと早く神姬に気付いて居れば神姬がこんな思いになる必要は無かったのに...

すると神姬が話し続ける

神姬「いつまでも、一緒だよ?」

あの日見た夢の言葉だ

俺「当たり前じゃん...離れる訳ねーだろ」

そして神姬が俺に近づく

神姬「チュっ、うっ...えへへっ」

神姬の顔を見ると泣いていた

俺はそれを見て神姬を抱き締めた

もう...我慢出来なかった

俺「神姬」

神姬「ど、どうしたん?」

俺「...ありがとう」

神姬「...フフッ、どういたしまして」

我慢していた涙を流してしまった

俺「神姬」

神姬「ん?」


「...好きだ」


すると神姬がもっと泣き始めた

神姬「遼」

俺「ん?」


「...っ、好きやで...」


「うぅっ...俺もだ...」


あの日言えなかった事は、この事だったんだな。


俺「...さぁ、帰ろ」

神姬「...うん!」


この時見た神姬の顔は夕日に照らされて

天使の様に綺麗な顔をしていた。






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