幕間:琴家ルルと死亡フラグ-2
「あーいや、今のこの国でヘリとか武器とかを普通に持ってそうな組織ってことで、自衛隊とか警察とか在日米軍とかの職員データベースにとりあえず侵入して検索かけてたんスけど」
ちょっと待て。そういうところのセキュリティって、相当高いんじゃないのか? この短時間で、しかもそんなタブレット端末で、とりあえず侵入ってどういうことだよ。こいつ、喧嘩の弱さはさておくとして、実は無茶苦茶凄い奴なのか?
いや、でもこいつ自体が凄いとは限らないな。本当かどうか分からないけど、有馬はこの二人のことを政府の極秘機関のエージェントとか何とか言ってたし、さっきのタブレット端末の操作は、自分の所属組織に調査依頼を出していただけかもしれない。実際のデータベース侵入とかは依頼を受けた方でやっていて、イトウは報告を受け取っただけとかの方がまだ有り得そうな気がする。
しかし仮にそうだとしても、こんな短時間で調べられるとかどんな組織だよ。もし本当に政府の極秘機関なら自衛隊とか警察とか日本の組織のデータベースには最初から入り放題なのかもしれないけど、在日米軍はそういうわけにはいかないだろ。
そもそも政府の極秘機関という話だって、カクコは否定してたし、多分有馬が適当に言っているだけだ。
「見つかったのか?」
私の動揺と困惑には構わず、イトウとカクコは話を進める。
「見つかったッスね。二人とも、この国の公安警察の所属ッスよ」
まさかの展開が来た。
「警察に連れて行かれたって、つまり有馬は逮捕されたってこと? ……まあ、逮捕されても仕方のないことはいろいろやってたような気がするけど」
テーザーガンで人を撃ったこともあるし、爆薬カートリッジ付きスピアガンとか、バッタの時に持ってたライフルとかも、合法的に持ち歩いているのかはかなり怪しい。
「いや、でも公安警察って言ったら、窃盗や殺人なんかの捜査をする、いわゆる刑事とは別物ですよ。テロ組織とか政治結社とかカルト教団とか、そういうのを監視してるようなところだったはずです」
「政治とか宗教とかは関係無さそうだけど……。あー、でもテロリスト疑惑はかけられても文句は言えないよな、あいつ。爆破アイテムとか持ってるし」
「……そのアイテムで実際に爆破をやっちゃったルルさんがそれを言いますか」
矢部の言葉は、聞かなかったことにした。
「にしても、警察が逮捕する時に、あんな人質をとるようなやり方するもんなの?」
どちらかといえば、テロ組織の側がやりそうな手口だ。
「公安警察は仕事の性質上、汚い手口みたいなのもやるとは聞きますが……。とはいえ、国家権力なら確かにもっといくらでもやりようがある気はしますね」
「そんな話よりも、今は有馬をどうするかが重要なのではないか?」
それは確かに、その通りかもしれない。相手が東雲達の組織ではなく警察となると、すぐに有馬が殺されるというようなことはないだろうから、緊急性は多少低下したが。
「心配ご無用ッスよ、カクコさん。相手が分かったからにはもう師匠の救出には成功したようなものッス。このイトウのパワーが火を噴く時が来たッスよ! 力こそパワー!」
えっ、まさかこいつ、警察に殴り込むつもりなの……?
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