第三章:UMA探偵と蠢く者ども-7

「どうした? アリマユーマ? 答えられないのかい?」

 女の言葉に、有馬は我に返った。

 やれやれ、まるで駄目だな。考え込み過ぎて目の前のことから意識が逸れるようでは、まだまだ修行が足りない。


「べつに答えられないわけじゃあないさ。ただ、知っていることを全部話せと言われたところで、そもそも知っていることなんてそう多くはないんだよ。そっちの女の方は最初に会った時、東雲真理と名乗っていたけれど、これは多分、偽名だろうね。男の方は、その東雲に隊長と呼ばれていたけど、これも名前は分からない。あとは、そいつらの組織はそれなりの軍備を持っていそうだということと、UMA探偵でもないのに何故かUMAの出現ポイントに現れる、ということくらいかな」


「ふーん」

「さっきからそればっかりだね、君は」

「あんたはもうちょいと年長者に対する口の利き方に気をつけた方が良いねぇ。ふーん、としか言いようも無いよ。あんたが思いのほか何も知らないもんだからね。まったく、手間暇かけて捕まえてきた甲斐が無いねぇ、これじゃ」


「そっちが勝手に捕まえてきておいて期待はずれみたいなことを言われてもね。また随分な言い草じゃあないか」

 言い返してくるかと思ったが、女はくくくっ、と乾いた笑いを漏らした後に、こう言った。

「ま、あんたの側からすりゃ、そう思うのも道理だねぇ。じゃあ、お詫びといっちゃなんけど、こっちからも情報を提供しようか」


 そこでいったん言葉を切って、東雲と金髪美女、“隊長”とハリウッド俳優風の男の写真を、左手と右手でそれぞれ摘み上げる。

「教えてやろう。こいつらがいったい何者なのかを」

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