第4話 依頼

 三人は城に着き、大きな城を見上げている。

 その城は純白を想像するかの様な白色で統一されており、他者を寄せ付けない雰囲気がある。

 入り口には大きな門と門番が立っていた。

 その門番は鎧を着込み、周りを警戒して、目を光らせている。

 三人は入り口を通ろうとするが、門番は通さない様にと三人の前に立ち塞がる。

「待て! この城に何の用だ!」

「あの〜討伐依頼を募集しているって聞いたのですけど。 この方から聞きまして」

 ウェルは手を差し出す様な形を示し、ミナからの依頼という事を強調する。

 門番はミナの顔を見て、

「ミ、ミナ様! お戻りになされましたか!」

「ええ。 たった今戻りました。 彼等は魔族討伐を手伝ってくれるという事で王様に会わせたいのです。 ここをお通りすることはできますでしょうか?」

「はっ! 失礼しました! どうぞお通り下さい!」

 三人は城の中へ入り、ミナの案内で王のいる謁見の間へ案内される。

 謁見の間に入ると、王が一人で玉座に座って待っていた。

 周りを見回しても兵士が見当たらず、広い部屋には王様しかいなかった。

三人は王に近づいていき、ミナは片膝を地面に着け、頭を下げる。

「ミナ・カーストン、只今戻りました!」

「ご苦労であった。 討伐依頼の件はどうじゃ」

「ハッ! この二人の者が協力してくれるという事で連れて来ました」

「そうか。 では早速準備を始めてくれ」

「準備? 他の者はどうされたのですか?」

「依頼を募集して集まったのは剣も使えない者達で、ここの兵士を使って訓練させたが、戦力になりそうに無いから帰したよ」

「しかし、たった二人で魔族を相手にするのは困難でpす。 せめて、ここの国の兵士達も参加させてはどうでしょうか?」

 王はミナの言う言葉に耳を傾けながら、髭を触っている。

「ここの国、キーストンの兵士も守るので手一杯なのだ。 参加させるのはいいが、その間にこの国を守るのは誰がする?」

「それは……」

 ミナは王の言われたことに言葉を詰まらせる。

 王の言う通り、この国の兵士を参加させると、その間の守りが薄くなってしまう。

 しかし、このまま二人を行かしても犬死になってしまう。

 それでは討伐の意味が無いのだ。

 ミナは考えたが、いい考えは思い付かなかった。

「俺とこいつの二人で討伐すればいいんですね」

 ウェルはデイグを指差し、王に話しかける。

「辛いとは思うのだが、そうして欲しい。 今はどこも人手が足りない状態なのだ。 その分の報酬は弾ませよう」

「よし。 デイグ、それでいいな」

「構わないぞ。 報酬が増えるならそれでいい」

「じゃあ行こうか〜」

 ウェルはデイグと共に城を出ようとする。

「待って!」

 ミナは呼び止めて、

「二人だけで行くだなんて危険過ぎる! もう少し考えましょう!」

「けど、今ので話は良しということになったじゃないか」

「では私も付いて行きます。 危険だと分かれば撤退もできるよう指示する人が必要ですから」

「まぁ、いいけど。 王様の意見は?」

「王様! この討伐、私も付いて行きますね! よろしいですか?」

 ミナの言い方はまるで強要を求めているように言った。

「うむ。 二人が逃げないかの監視も頼む」

「分かりました」

 王の許可が出たことでミナはホッと胸を撫で下ろす。

 そして、三人は城を出て、町へ向かった。

 

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