第2話 魔導騎士
彼女からはたった一言だけ言葉が返ってきた。
敵討ち……その一言だけであった。
その言葉にウェルは黙った。
聞こえて来るのは静かな風の音だけである。
そして、ミナは再び口を開く。
「我等は王をお守りする、魔導騎士だ。 剣術だけじゃなく、魔法も使える。 私は剣術を磨いた。 そして、世界の魔法を調べ、魔術でも王国の中では常に上位についていた。
だが、私の知る限りの強敵が現れた。 そいつは人間を襲い、たちまち街を火の海にされた。 私の両親もそこで殺されたのだ」
ミナの話を聞いて、ウェルは静かに頷いて、
「つまり、俺と協力して両親の敵討ちを取って欲しいってことだな」
「ああ。 王国からも今、その討伐に向けての依頼もかけてある。 歴戦の戦士達も来るだろう」
「それに俺も参加しろと?」
「ああ。 さっきの身のこなしは只の商人の動きではなかった。 どこかで戦闘経験がある事は分かった。 君も参加して欲しい。 きっと王国からも報酬が出るであろう」
ウェルは黙った。
そして、手から何かを出している。
静かな風である。 魔法とは、魔力の元である精神力と精霊の契約が必要かあるいは自然についての知識があれば使えるのである。
「いい風だ」
ミナが言う。
ウェルは笑顔になり、いい風だろうと自慢するかのように顔で語ってくる。
「その依頼、考えさせてくれないか」
「そうか。 では結果を楽しみに待っているぞ」
「あぁ。 待っていてくれ」
その出来事から一夜が過ぎ、ウェルは荷車を引いて、昨日いた所へ向かう。
その場所に向かう理由は言わなくても、本人は理解していた。
そこでミナと待ち合わせをしていたからである。
ウェルは待ち合わせの場所に着き、汗を手で拭いた。
ウェルが遠くを見ていると、ミナの姿が見えた。
ミナは彼の姿を見て、走って彼がいた方向に向かってきたのだ。
ミナは開口一番に聞いたのは、
「どうでしょうか? 決まりましたか?」
「あぁ。 一晩考えたが、依頼を受けるよ。
その荒らした連中も気になるしね」
「ありがとうございます! では王国に案内するね」
「あぁ、頼む。 と、その前に寄りたい所があるんだがいいかな?」
「どこへ寄るの?」
「何、王国の中でな武器を買っておきたいんだ。 それと仲間にならないかと誘う相手がいるんだ。 仲間は多いほうがいいだろう?」
それを聞いたミナは目を輝かせて言い放った。
「ウェルが強いからきっとその人も強い人なんだね! 是非お願いします!」
「では行く場所は決まったな」
ウェルが言うと、ミナは笑顔で頷いた。
「では行きますか!」
二人は王国に向かって歩き始めた。
ウェルは荷車を引いて、ミナは鎧を着た状態で出発を始めたのだ。
キーストン王国
この国の中心王国であり、街では商売も発達している。 様々な商売をしており、ここで武器、防具、はたや珍しい武器なのも取り扱っている。
「着いた〜!」
ミナは声を出し、着いたことによる喜びを声に出して言う。
「着いたのはいいが、今から目的の場所へ向かうぞ」
「はーい」
二人がまず向かったのが武器屋である。
武器屋と示した看板を発見し、扉を開く。
武器屋ということもあり、様々な武器が置いてある。 剣、槍、斧、はては杖やメイスまで様々な物があった。
ウェルは真っ先に剣を置いてある所に向かい、剣を物色する。
すると、店員が後ろから、
「何かお探しですかい?」
と聞いてきたので、ウェルはオススメの剣もあるかと思い、聞いてみた。
すると、店員は剣を物色し、これなんかどうだい? と、ウェルに聞く。
ウェルにはその剣は合わないらしく、王国の騎士が使っているような剣はあるかと聞いた。
すると、
「そういうのを探していたんですか。 ならいい物がありますよ」
そう言って、店員は奥へ入り込み、剣を抱えてウェルの元へ戻ってきた。
その真っ新な剣は誰にも触られたことが無いかのように綺麗で大きさ、重量ともにウェルにはしっくりきたのだ。
「この剣……。 とてもいいね。 これを買おう。 いくらかな?」
「十万ゼルでございます」
「十万! 高いなぁ。 しかし、これからの事を考えればいい方か。 買った!!」
「毎度あり。 それと最近入荷したのに珍しい物がありましてね」
「ほう。 何かな?」
「魔法銃という物が手に入ったのですよ」
「魔法銃って離れた敵を攻撃できる武器なのですよね?」
「その通りです。 中距離でも敵を倒せる武器なので良かったらお試しにひとつどうでしょうか?」
「じゃあ、それも貰います」
「はい。 では追加で三万ゼル追加して合計で十三万ゼル頂きます」
「はいよ」
武器を買って外に出ると、ミナが話しかけてきた。
「剣を買ったのは分かるけど、何で魔法銃も買ったの?」
「これが必要になってくるからだ」
「魔法銃は魔力を使って撃つ物だから精神力と精霊の加護かそれに伴う知識が無ければ難しい武器じゃない。 どこで必要なの?」
「すぐに分かるさ」
二人は一つの目的を終えて、次の目的地へ向かっていった。
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