第4話 私、探索をする
「よし! 終わり!」
魔法を書きだす作業を始めてからだいたい一時間。
書きだしてみて分かったけど、変身しないでちゃんと使えるのが心を読む魔法しかないなぁ。
まぁこの魔法、変身してない状況だと表面で考えてることしか読めないんだよね。
本当なら私の言葉も送ることができるんだけど。
うーん……やっぱり新しい魔法を考えるとか?
でも、変身しないで使うってなるとあんまりいいのできそうにないなぁ。
変身ありなら腕輪の術式と魔方陣のおかげでちょっとした空間魔法でも作れそうだけど……
「ん?」
そんなことを考えていると近くになにかが置いてあるのを見つけた。
なんだろうこれ?
書置きと……ヘアピン?
書置きには
『髪留め見つけたから付けとけ。そんなに前髪のばしてると目が悪くなるぞ』
と書いてあった。
「ふふ」
あの人は基本的に『貧乳』とか思ったり、『ロリババア』なんて呼んだりしようとするけど、私を助けてくれたり、こんなプレゼントをしたり優しいよね。
それにしても、ゆっきーさんからのプレゼントかぁ。
センスはないけどせっかくだし、つけようかな。
そんなことを思いながら私は生まれて初めて自分でヘアピンをした。
前髪が視界に入らないなんて変身したときを除いていつ以来だろうか?
魔法少女に選ばれてすぐにはもうこんな髪になってたから……もう十年ぐらいになるだろうか?
あの世界でヘアピンなんてしてたらもっといじめられてたかもなぁ……。
「さて、どうしようか」
魔法を書きだし、ヘアピンをしたらやることがなくなってしまった。
ゆっきーさんのところに行こうかな?
んー、
「そういえばゆっきーさん、自分の家とかっていってたっけ」
じゃあゆっきーさんはここと似たようなところに住んでたんだ。
片付けの時にいろいろ見たけど探検でもしようかな?
「さっきみたいに何か隠してるかもしれないし」
そう、さっきのいかがわしい本みたいに。
じゃあ、レッツゴー!
それから一時間。
いろいろな部屋を探したが結果は、
「何もなかったなぁ」
そう何もなかったのである。
一通り回ってみたけどごくごく普通の家だった。
一階は大きなダイニングキッチン(キッチン無)であったであろう場所に風呂(浴槽無)であったであろう場所にトイレ(トイレ無)であったであろう場所に普通の部屋が一つ。
二階は同じくらいの部屋が四部屋(今は魔窟)があった。
内装からたぶんゆっきーさんと両親だけの家ではないだろうなってことはわかったが、おもしろそうなものも見つからなかった。
そういえば、光の柱を使うときにヒーローの武器を使うって言ってたけど、ヒーローの武器なんてなかったなぁ……まぁいいか。
さて、そろそろゆっきーさんのところにでも行こうかな?
それとも邪魔になるかもしれないし、中で待ってたほうがいいかな?
そんなことを考えていると
『出ろ』
という声が聞こえ、
「あれ?」
気づいたら私は腕輪の中に入るときに使った魔方陣の上にいた。
「え?」
なんで私、地上にいるの?
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