第3話 俺たち、掃除をする ②


 そして、時季外れ(たぶん今は夏に入るちょっと前ぐらい)の大掃除が始まった。




 ときには二人で協力し、


「ゆっきーさんこれどこに置きます?」


「たぶんあんまり使わないから二階の奥の部屋」


「わかりました」


「あっこれも一緒にお願い」


「はーい!」




 ときには怒られ、


「おっこれは……」


「あっ! 何サボってるんですか!」


「いやー、つい」


「ついじゃないです!」




 ときには桜の科学知識のなさをけなし、


「ゴミ袋とかないかな?」


「そういうのもなかったですね」


「じゃ、ゴミはあっちに置いといて。次の施設で捨てとく」


「私、燃やしましょうか?」


「一酸化炭素中毒で死にたいの? バカなの?」




 ときには服を、


「あれ? これは……」


「それ俺のパンツ」


「え? きゃあ!」


「おい! 投げるなよ!」




 ときには武器を、


「フラッシュバンにハンドガンに……」


「うわぁ……」


「これは触んなよ?」


「触りたくないですよ……」




 ときには見られたくないものを片付けた。


「なんでこんなものが!?」


「どうしたんですか?」


「いや、なんでも……」


「なにを隠したんですか? 見せてくださいよ」


「ちょっやめっ!」


「うわぁ……」


「……」


「……そういう趣味なんですね?」


「いや、これは……」


「えっちーんだぁ」


「……」


 いや、違うんですよ? 別に、ね? 違うんですよ……。




 などなどいろいろなことがありつつも掃除は順調に終わりに向かっていった。

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