第3節 俺は背負う
第1話 俺、腕輪の説明をする
「ゆっきーさん! 早くやりましょう!」
桜がハイテンションで詰め寄ってきた。
「え? すぐやるの?」
それに対し、俺は桜とは反対にローテンションで答える。
「はい!」
桜はそんな俺に気付かずにやはりハイテンションで答える。
「……そうか」
あの施設から逃げだして五日、俺たちはいま悪の組織の領地の境目、通称境目で過ごしていた。
ここはちょうどいい瓦礫がある上に、今の時間は周りに怪物が一体もいない。
つまり少し騒いでも大丈夫な状態だが、本当にテンションが高すぎる。
正直勘弁してほしい。
「だってだってだってこんなに完成されているものに手を加えることができるんですよ!? こんなこと滅多にできることじゃないんです!」
「……そうなんだ」
そんなローテンションな俺とハイテンションの桜が場所でいま何をやっているかというと、俺が収納に使っている変身アイテムを俺たち二人が入れるように桜が改造するというのだ。
「早くこれの魔法的アップデートをさせてください!」
桜は腕輪を掴み、振り回す。
イタイイタイイタイ、本当にやめてくれ。
「わかった。わかったから……はぁ……なにも地上でやらなくても……」
俺は小さな声で愚痴りながらなぜこんなことになったのかを考える。
始まりは昨日の夜、桜に腕輪のことを説明したことから始まった。
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