第7話 俺、脱出する


 元チビこと桜にゆっきーという不名誉なあだ名を呼ばれてすぐ、廊下から足音が聞こえた。


 俺は扉に耳を当て、足音を聞く。


 1、2、3……4人か。


「ゆっきーさんどうしたんですか?」


 足音に気付いていないのか、桜は不思議そうな顔で俺を見た。


 俺は唇に人差し指を当て、静かにというジェスチャーをする。


 異世界の人間にこれが通じるかはわからないが、黙ったところを見るに理解してくれたようだ。


 足音が俺たちのいる部屋の前で止まった。


 それを確認した俺は扉から少し後退し、こぶしを握る。


 そして扉が開いた瞬間、


「ガッ!」


 跳びあらを開けたやつの顔面に一撃。


 そのままの勢いで腹に膝蹴りを入れつつ、やってきた人数を再確認する。


 足音の通り、全部で四人。


 一人は膝蹴りの勢いで壁にぶつかり、頭を打って戦闘不能。


 残りの三人中二人はすでに胸元から銃を取り出そうとしている。


 が、


「ふっ!」


 銃を取り出す前に頭めがけて上段回し蹴り、を、しゃがんで避けさせ、そのままかかと落としからの顔面蹴りで沈める。


 これで二人。


「手を上げろ!」


 次に俺に銃口を向けている三人目。


「やーだよ」


 わざとまっすぐ向かい、銃を撃たせる。


 それを避けて、手首を掴み、顔面に肘を入れるつもりが……


「なんだ、撃たない、いや、撃てないのか?」


 撃ってこなかったので、腕を蹴り上げて、右手で襟を左手で手首を掴んで投げる。


 そしてそのまま肩を極める。


「あ、がぁぁああああ!」


 銃を落としたところで首を絞め、落とす。


 最後に事態が理解できず、ただ突っ立っているだけの男に拾った銃の銃口を向け、


「とりあえず手を上げようか」


 俺がにっこり笑ってそういうと、最後の一人は引きつった顔で手をあげた。


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