第17話 療養所の中
真はなにか大切なことを忘れているような気がしていた。
ある時それに思い当たって愕然とした。
あの小屋のことだ。
もともと春を連れて来たのもあの小屋で大勢の子供たちが眠っているのをみたからだ
そしてその中の一人は死んだ
春に聞いてみると「あれは実験なんだ」と言った
「実験?」
春が言うには内臓を治すためだと言った,
そのために薬でいつでも寝られるようにする実験だと・・・・
確かに内臓を切られたら助からないと真も教わっていた
「何で内臓を治すのに、眠りが必要なんだ」
真はまるっきり訳が分からず聞いた
内臓を治すためには、腹を開けなければならないけれど、そんな痛みに人は耐えらえない、だから眠らせなければいけない
そのために実験になったのだという
「薬が効きすぎたらどうなる」真は死んだ子供を思い出して言った。
「もし、死んだとしても眠るように死ねるって」
春は言った
「それに、そのくらいしか恩を返せない」
「恩って足のことか?」
「うん、最初は死んだほうがよかったと思ったけど今は生きてるほうがいい」
春はそう言って笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます