第一章 -8

「あ――っぶねえッ!」

 俺たちの眼前を巨大な溶岩が通り過ぎていく。ゆめかが強引に杖の舵を切ったおかげだ。

 キリモミ状態になりながらも、なんとか初撃を回避した俺たちだったが、往き過ぎた溶岩が背後の工場群を軒並み吹き飛ばしたその光景に、ゆめかも俺も蒼白となった。

「お、おい……やられたら、眠るだけじゃないのかよ……?」

「そ、そう聞いているけど……あくまで触れられた場合だから。アレに当たった場合は……」

 ズズン、という不吉な地鳴りに、俺たちは息を止めて振り返る。

 黒竜の乗っていた煙突が崩落していた。代わりに、ゆっくりと上昇を始めるその巨体。背中についた六枚の翼は放射状に広がって、その視線は俺たちを明確な獲物として認識する――!

「ゆめか、動けッ!」

「えっ?」

 俺の声に半ば反射神経だけで杖を走らせたゆめか。

 一瞬遅れて、俺たちのいた場所を溶岩が貫いていく。

 ゆめかは背後で起きた光景に目を白黒させながら、ほっと息を吐き出した。

「あ、ありがとコータ! 助かったよっ!」

「まだ助かってねえ! 見ろあのデカいの、こっちに飛んでくるぞ!」

 雄大な六枚の翼をはためかせた黒い竜は、まるで風に乗るかのように飛翔を開始した。

 ゆめかは杖の舵を九十度切って、黒竜の突進コースから逸れる。

 しかし黒竜もそれに反応し、まるでその巨体を感じさせない機敏さで俺たちの背後につけると、再び大きな咢を開いた。

「ひゃあああッ!」

 都合三度目の咆哮。

 黒い火炎は俺たちの頭上を焦がし、暗黒の雲の向こうへと消えていく。

「おい、今のヤバかったぞ! もっとスピード出して振り切れ!」

「む……無理だよ、これが限界だもん!」

 振り返れば、黒竜はすぐそこにまで迫っていた。こちらだって相当の速度を出しているはずなのに、奴との距離は縮まる一方だ。このままでは追いつかれるのも時間の問題――、

「それなら低空だ! 建物の陰に隠れろ、奴の視界に入るなッ!」

 俺の言葉に頷いて、ゆめかはぐんと杖を沈ませる。

 そのままの速度で薄暗い路地へと侵入した途端、上空から大量の黒い炎が、文字通り溶岩溜の如く降り注いできた。

「これも怖ええ!」

 だが、この判断は正しかったようだ。比較的高い建物に阻まれて、奴は弾道を絞り切れていない。無差別な爆撃が周囲の工場を軒並み燃やしていったが、このままなら振り切れそうだ。

「いいそゆめか。このまま路地を突っ切れ。時間を稼げばさっきの魔法少女共が――」

「あ―ッ! 駄目駄目、曲がりきれないッ!」

 突然のゆめかの声と共に、ぶわっと身体の持ち上がる感触。一瞬のGに意識を持っていかれそうになるが、眼を瞬いて覚醒した時には、俺たちを乗せた杖は建物の上に飛び出していた。

「な――馬鹿っ、なに空に出てんだよ! 低空飛行だって言っただろ?」

「だって、建物の壁にぶつかりそうだったんだもん! 狭いトコ飛ぶのは無理だよう!」

「それでも、路地から出たら奴の格好の的に――」

 そんな小言を交わす暇すら、奴は与えてくれなかった。

 俺たちに覆い被さるように最接近してきた巨体の影。

 鋭く野太い爪を携えた前足が、電光石火の速度で振り下ろされる。

 間一髪――というか、フラフラしていたことが功を奏したのか、奴の腕は空を切り、俺たちの代わりに建物の屋上に爪を食い込ませて、その動きを停止させた。

 その一瞬の隙に、ゆめかは全速力で離脱する。

 黒竜も停止していたのは一瞬だけだ。爪の引っかかった建物を細切れにして塵芥に還すと、再び俺たちの背中を追いかけて飛翔する。

 圧倒的に不利な鬼ごっこは、俺たちの息の根を止めるまで終わらないらしい。

「ま、魔法だ、ゆめか! なんでもいい、奴を足止めする魔法を一発ぶちかましてやれ!」

「ま……魔法? 無理だよ、そんなこと!」

「なんだっていいんだよ! どうせこのままじゃジリ貧だ。メラゾーマでもフレアアローでもスターライトブレイカーでもなんでもいいから、とにかくブチかまして現状打破を――」

「だから、無理なの! そんな魔法なんか使えないの!」

 ゆめかの半ばヤケクソ気味な叫びに、俺は一瞬、凍りついた。

「使えない、って……おまえ、魔法少女だろ?」

「魔法少女でも使えないものは使えないの! 私、飛ぶ魔法は練習してきたけど、魔法を撃ったり使ったりしたことは一度もない。そういうのは、魔法少女になった後に教えられるから……」

 ……そういえば、こいつやこいつの仲間たちは言っていたっけな。

 これが初めての戦闘であると。そして、魔法少女として初のフライトであると。

 つまりこいつは、まったくの初心者。

 タマゴから生まれたばかりの雛鳥というわけだ。

「じ、じゃあ何か? 戦う方法も知らないくせに、丸腰同然のままあの化け物をぶっ倒そうと意気込んで、こんな生きるか死ぬかの最前線まで突っ込んできたって言うのかよ?」

 俺が言うと、ゆめかは目尻に涙をいっぱいに溜めた顔で、

「だって……だってだって! 戦いたかったんだもん! ソラエやリリちゃんと一緒に戦いたかったんだもん! この国に住むすべての人たちを、護りたかったんだもん!」

 な――なんだよ、それ。

 これってマジなのかよ。

 意気込みは分かる。この国を護りたい気持ちや、仲間の助けになりたいという気迫は本物だろう。

 だが、そんなのは戦う術を身に着けた後の話だ。

 ガキのケンカじゃあるまいし、気持ちと根性だけでどうにかなる相手ではない。

 ましてや国家の存亡がかかるほどの強大な敵。空を飛ぶしか能がないのでは、その辺にいるハエやトンボとさしたる変わりはないに等しい。

 それなのに、己の置かれた状況も理解せず、自ら死にに突っ込んできたなんて――。

 これが夢見乃夢叶であるはずがない。あいつはもっと冷静で冷徹で計画高くて、用意周到な奴なんだ。

 己を顧みず感情だけで突っ走るような戦い方なんて、望んだってしないだろう。

 容姿は似すぎるほど似ているが、こいつの性根は夢見乃夢叶とは似ても似つかない。

 やはり――この世界は夢なんだ。

「ちっ、近づいてきたッ! どうしよう、どうしようコータッ!」

 背後の暴風が圧力を増していることを感じる。見れば、黒竜との距離は目と鼻の先だ。無秩序に吐き出し続ける溶岩の塊も精度を増してきていて、いつ当たってもおかしくなかった。

 武器もなく、魔法も使えず、速度すら負けている状況で、一体どうやって勝てと言うのか。

 俺の背中の毛がピリピリと震え出す。これは恐怖に震えているのか。

 夢ン中だってのに、殺される恐怖に身体が竦むなんて、これだから明晰夢ってヤツはままならねえと俺は思った。

「ハハ……そうだよな。思えば、無理に戦う必要はねえんじゃねえか」

 どうせこれは、その名前の通りの悪夢を見ているに過ぎないんだ。

 殺される体験をするのは少し怖い気もするが、どうせ数時間もすれば目が覚めて、いつも通りの朝が来るに違いない。

 だから、ここで死のうが生きようが些末な問題。結末が同じなら抗う理由も存在しない。

 それならば、ここで大人しくナイトメアに喰われたって――。


「怖い……、怖いよコータ……」

 ――だというのに。

「まだ死にたくない……。お願いコータ、私を、助けて……ッ!」


 小動物な俺よりデカい図体をしているクセに、必死になって俺の身体に縋り付いているコイツの姿を目の当たりにして、俺は、なんともやる方無いことを考えちまった。

 というか、こいつだって俺の夢の創作物だぜ? 目が覚めれば消える存在。そいつが何を泣こうが喚こうが、朝には消えるという結果に寸分の違いもない。だったらこのまま無視したって何の問題もないはずなんだ。

 なのに……なのにさ。

 こんな、現実のゆめかと比べても不完全な奴をさ。


 これ以上泣かせたくないって思っちまったのは、何でなんだろうな。


「杖を持てッ、夢見乃夢叶!」

「ふえっ?」

 俺の突然の怒号に、ゆめかは潤んだ眼を大きく見開く。

 俺はコイツの耳元に口を寄せて、風の音を吹き飛ばすくらいの大声で叫んでやった。

「ぼさっとすんな! 操縦桿引け、歯ァ食いしばって上昇しろおッ!」

「はっ……はいいっ?」

 どうもこっちのゆめかは、俺の言葉に反射的に従う回路でも付いているらしい。

 両手で杖の柄を掴んだゆめかは、それを思い切り手前に引くと同時にフルスロットル。十字架の翼は真下に向かって炎を吐き、その反動で俺たちの身体は一気に空へと引き上げられた。

「ぐううううっ!」

 急激な加速に全身の毛が抜けちまいそうなほどのGを感じる。だがこれでいい。

 見ろよ黒竜のヤツ、獲物が突然視界から消えたもんだから、呆然とアホ面を上げることしかできやしない。

「てめェに二度と捉えさせるモンかよ!」

 黒竜の視線が追いつく前に、杖は勢いのまま宙返りをする。垂直上昇バック宙バーティカル・ループなんて『ホラコン』では当然の技術だ。俺はこの航空機動で、数えきれないほどの戦闘機を撃墜してきたんだぞ。いくら操縦士がズブの素人でも、俺が乗っている以上、失敗などはあり得ない。

 ――そうさ。この風を突っ切って進む感覚は、まさにホラコンそのものなんだ。

 戦闘機と魔法の杖では大分違うが、仮想現実ゲーム幻想ゆめなら似たようなモンだろう?

 ならば、俺がここで黙ってやられる道理はない。

 これが夢だというのなら、せめて目覚めが悪くないように――最後まで足掻いてやる!

「このまま竜の背後に廻るぞ! 速度を落とすな、スロットル全開ッ!」

「す、スロットルって何ですかぁッ?」

 わたわたと慌てながらも、ゆめかの操る魔法の杖は、見事な放物線を描いて竜の後方へと降下した。

 さすがに竜も背後を取られたと感づいたようで、大きな図体を回転させようと翼を忙しなく動かし始める。

 俺はゆめかの胸元から這い出して、杖の先端にその身を躍らせた。

「ゆめか、水平旋回ッ! 奴の背後は俺たちの唯一の安全圏だ。死ぬ気で食らいつけ!」

「う……うんッ!」

 竜の頭がこちらを向くに合わせて、ゆめかが杖の機動を大きく変えた。

 急激な方向転換に、俺はあやうく杖から滑り落ちそうになる。

 竜が俺たちを正面に捉えるべく二度三度と身を捩るたびに、ゆめかの杖は急発進と急停止を繰り返し、俺は杖にしがみ付くだけで精一杯だった。

 って、これじゃ駄目だろ、那珂湊幸太。さっきの青い魔法少女の杖に乗ってた灰色の奴は、平気な顔して仁王立ちしてたじゃねえか。あんな目つきの悪い奴に負けてるようじゃ、ホラコン全国八位の腕が泣くってモンだ。なんとかして、この竜に一矢報いてやらにゃ――、

「っておわぁ、シッポくる! ゆめか、回避回避ッ!」

「はわわわあ!」

 間一髪。俺たちの頭のあった位置を、竜の巨大な尻尾が強烈な勢いで通り過ぎていく。あんなのに激突されたら墜落どころか一撃死だ。

 俺は泣きそうな顔をしているゆめかに叫んだ。

「あんま近づきすぎるな! デタラメに振り回してるだけとはいえ、まぐれ当たりあるぞ! あ、でもあんま離れすぎるなよ。背中に食らいつくのが難しくなる!」

「今スゴイ無茶言ってるよコータっ? それじゃ、どうすればいいってのよぅ!」

 ゆめかのセリフはもっともだ。近すぎず遠すぎずの距離を、奴の背中を追いかけながらキープし続けるのは難しい。ホラコン全国八位の俺にだって厳しいのに、新米魔法少女なら尚更だ。

 それに、これだけの激しい方向転換と急加速……ゆめかの体力だって、いつまで持つか。

 俺は揺れる尻尾の向こうにある無防備な竜の背中を、苦虫を噛み潰しながら睨み付けた。

「くそっ、いい気に振り回しやがって……! これが『スタハン』ならあんな竜、俺の煌明槍こうめいそうアルトランス+9で一撃だっつーのにっ!」

「こーめーそうアルトランス? なにそれっ?」

「槍だよ、槍! 攻撃力195の激レア武器! 俺のキャラが使ってるメインウェポン!」

 こんな忙しい状況なのに、ゆめかの何気ない言葉に答えてしまう俺。ったく、こんなときまでゲームの話をしちまうなんて、つくづくゲーオタな自分が情けないやら悲しいやら。

「それって、あの竜をやっつけちゃうくらい強いの? どんな形のヤツ?」

 ゆめかはゆめかで、なぜか俺の意味不明な武器名に関心を持ったらしい。

 俺はめまぐるしく動く風景の中、眼下の広場に突き刺さった一本のランスを見ながら答えた。

「さっきの広場で倒れてる兵士の横に、円錐状の槍があるだろ? あんな感じの武器だよ。レベル9まで完全強化済だから、竜と闇属性には効果絶大。あんな竜なんて一撃だっつの!」

 って、なに熱くなって答えてるんだって俺。そんな場合じゃねーだろう?

 この場に煌明槍アルトランスがあるわけで無し、こんな妄想垂れ流したって何の意味も――、

 ――そのとき、だ。

 俺たちの乗っていた魔法の杖が、爆発的な光を放った。

「な、なんだッ?」

 突然のことに、思わず目を瞑ってしまう。しかし、光の拡散もほんの一瞬のこと。

 星のちらつく目蓋をなんとか押し上げ、周囲の状況を認識した俺は、――我が目を疑った。


 空飛ぶ杖の先端に現れていたものは、槍だ。


 しかも、バカデカいとしか言いようのない騎兵槍。その大きさは全長にして十メートルを優に超え、円形の鍔は俺の視界を覆うほどだ。

 俺とゆめかの乗る部位は何も変化していないというのに、杖の石突から先だけが、この巨大な鋼鉄の武器に変容しているのだった。

「ど……どーなってやがる? これ、ゆめかが出したのか?」

 俺は振り返って訊くが、当の本人と思われる少女は驚愕したままぶんぶんと首を振り、

「わ、わわわかんないよ! いや、でも、ちょっとはイメージしたけどさっ!」

「イメージした?」

「だって、コータがこーめーそうナントカランスでなら、竜を一撃で倒せるって言ったから。それを少し考えたら……」

 杖の先っぽが、勝手にランスになりやがった、って言うのか。

 それじゃ、まさか……俺の妄言を引き金に、ゆめかの魔法が発動したってコトなのか?

 確かに、あの大きさの竜を一撃で倒すなら、これくらいの大きさはなきゃ駄目だ。

 正直、形は広場に打ち捨てられていたランスの単純巨大化版で、ゲーム中の煌明槍アルトランスとは似ても似つかない様相だけど、何物でも貫けそうなほど鋭利に尖った先端は、まさしく武器のそれだった。

 ……いや。

 裏を返せば、

「ゆめか、このランスはミサイルみたいに発射することは可能か?」

「む、無理だよ。というか、これ自体どうやって出したかもわかんないってのに!」

 ――鉄骨よりも重厚な尻尾の一撃が、俺たちの一瞬の隙を突く。

「うっ、わああっ!」

 ゆめかの悲鳴。

 直撃こそ免れたが、その風圧をまともに受けて杖は大きくバランスを崩した。

 奴との間に距離が開く。杖はなんとか水平を取り戻すが、もう遅い。

 竜の野郎は翼を翻してこちらに向き直るところであり、今から奴の後ろに回り込むには時間が足りなさ過ぎた。

 いや――もう逃げ回るのは十分だ。

 攻撃手段は手に入った。

 杖の速度も申し分ない。

 となれば……あと必要なのは、一体何だ?

 あの竜を倒すという、俺たちの気持ちだけだ。

「ゆめか、突っ込め!」

「え? 突っ込むって……まさか? 無茶だよ! ナイトメアに触ったら私たちは……!」

「ここで黙って殺されるつもりか? いいから突っ込め、俺を信じろっ!」

 今はこんな小動物に過ぎない俺の言葉を、一体誰が信用するって言うのだろうか。

 それでも、世界にたった一人だけ、無条件で信じる奴がいるとするならば――、

「わ……わかった! コータと一緒なら!」

 不安な気持ちを噛み潰して、ゆめかが凛とした表情を作る。

 ああ、と今更ながら痛感する。

 態度も言動もまるで違うが、この表情だけは同じだった。

「それでこそ夢見乃夢叶だ! 行っけえええ!」

 俺の声に呼応して、杖の十字架が赤く煌めいた。

 弾丸のような速度で竜に迫る。

 風を抜き去り、空気を突き破って正面を向いた竜に吶喊する。

 ――竜が、大きく咢を開いた。

 口腔の奥で赤い炎が充填されていく様子を目の当たりにして、ゆめかが大きな声で叫んだ。

「マズイよコータっ! 来るよッ!」

「大丈夫だ、信じろっ! 俺はお前のパートナーなんだろ? なら、お前を絶対に殺させやしないし、お前を絶対に護ってやる。子供ン時から今の今まで、その約束を忘れたことはねえ!」

 女を助けるのは男の役目だって、何万年も前から決まっているお約束だろうが。

 ここがたとえ夢の中だって、その約束を護れないほど、俺は男を捨ててねえ!

 ――強烈な爆発音がして、火炎弾が放たれた。

 俺は杖にしがみ付きすべての毛を逆立てる。杖を握った腕に力を込め、全力で身体を前に倒した。

「ホラコン全国八位の腕を、舐めんじゃねえええッ!」

 まさに「ブレる」という表現がぴったりなほどの、僅かな航行ベクトルの変化。

 俺たちを乗せた杖は、火炎弾を掠めるように回避して、奴の胸元へと到達した。

「食らえええっ!」

 ゆめかが叫ぶ。

 杖の先のランスは赤い光を放って燃え上がり、竜の胸へと突き刺さる。

 一瞬の交叉。光の爆発。


 ――気づいた時には、俺たちを乗せた杖は、蒼い空を突き進んでいて。

 振り返ると、ランスの直径と同じだけの大穴を腹に開けた竜の後ろ姿が中空に浮かんでおり。

 その黒い悪夢の塊は、文字通り夢のように、爆散して黒い霧となって消えたのだった。

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