H5th Hand 夏は水着で危《アブ》バイト! カジノ王に俺はなる?!(後編)
ここは世界のどこかのお嬢様女子高
校舎の隅のひそやかな宴
○登場人物
☆サクラ
二年生。ポーカー部部長。天下無敵の魔王閣下。
「スーサイドスクワッド」にいるかもしれない。
人種・民族設定:ワイルドカード
☆エルネスタ
二年生。ポーカー部副部長。冷静沈着なポーカー部の頭脳。
「少女革命ウテナ」にいるかもしれない。
人種・民族設定:ネグロイド
☆グレイス
二年生。自宅は豪邸のガチセレブ。根は寂しいと死ぬウサギ系。
「ストZERO3」でクリスと闘っているかもしれない。
人種・民族設定:コーカソイド(ケルト系)
☆スー
一年生。いつも朗らかのーてんき。
メガネないけど「ロマンシア」にいそう……って古!
人種・民族設定:コーカソイド(ゲルマン系)
☆クリス二等兵
一年生。なぜか軍人思考、スーを隊長と慕うど初心者。
「ストZERO3」でグレイスと闘いつつ「ぼく勉」のアホの子でもある。
人種・民族設定:モンゴロイド
☆ニナ
一年生。きまじめ一本槍、ポーカー部の良識。
「ガットショット」にいるかもしれない。いやけっこうマジで。
人種・民族設定:コーカソイド(アーリア系)
★タンポポ
ポーカー部顧問。
どこのギャルゲーにもいそうな顔をしている。
人種・民族設定:ワイルドカード
○Guest
☆校長
通称「
「アイドルマスターSG」で常務やってるかもしれない。
★老人客、チャラ男客他多数
○16
サクラ、エル、スーが波打ち際でキャッキャウフフ。クリスは遠泳。
ひとりノリについていけない&泳げないし水も怖いニナ。……を、グ
レイスが呼び止める。
グレイス「ニナ」
グレイス「こちらへおいでなさい」
グレイスの老執事が登場、デッキチェアとパラソルとトロピカルジュ
ースその他もろもろ二人ぶん準備して去る。
デッキチェアに寝そべるグレイスとニナ。グレイスはリラックス、ニ
ナは少し緊張気味。
グレイス「泳げなくてもビーチは楽しめましてよ」
ニナ 「こ、こういうのちょっと憧れてたかも……」
○17
グレイス「ニナ。あなた、サクラのこと少し苦手でしょう」
ニナ 「え、いえ、そんな……」
グレイス「気にしないで、わたくしもそうでしたもの。ていうか、今でも苦手よ」
グレイス「入学して初めて会った頃はもう、人を人とも見てなくて、ホントに底意
地悪くて……」
グレイス「何しろド平民の分際で、わたくしやエルのようなセレブに何の遠慮もな
いんですのよ?」
ニナ 「(あ、素でセレブとかさらっと言っちゃうんだ)」
○18
グレイス「遠慮どころか、
で利用する気満々ですのよ。いずれ自分のポーカールームを作りたいん
ですって。部を作ったのはその手始めで、今回もそういうこと。大事な
後輩まで巻き込んで、迷惑な話よねー?」
ニナ 「それは……将来の……夢、ですか?」
グレイス「そんな聞こえのよいものじゃありませんわ。不相応な野望……、ですわ
ね。でもだからこそ……」
グレイス「わたくしには見えない、ずっと先を見ているのですわ、あの娘は。苦手
に思うのは、それがちょっとうらやましくて、ちょっとまぶしいから。
自分のことしか見えなくなっちゃうわたくしとは大違い……」
ニナ 「(あー、この人がポーカー弱いのは、自分の手しか見てないから……)」
ニナ 「(……人のこと、言えないか……先なんて、将来なんて……全然見えて
ない……だから、私も先輩が苦手に思えて……、そして勝てないんだ…
…)」
○19
翌朝。営業開始時間のコテージ。部員一同、水着にパーカーを羽織っ
ただけの姿でずらり並んでいる。
タンポポ「では、オープンしますよ」
サクラ 「さて、どんな客が来るか……」
コテージの扉が開く。最初の客の影が見える。固唾をのむ一同。
一同 「いらっしゃいま……」
とことこと入ってくる、腰の曲がった老人5人。
一同 「せ……」
スー 「みなさんおじいちゃんのお友達ですー」
スーが撫でられたりおやつ渡されたり、「スーちゃん大きくなったな
ぁ」「可愛い可愛い」とか言われてる描写。
気が抜ける一同。
サクラ 「ま、まぁ、まだ午前中だしな……」
○20
サクラ 「じゃあそのテーブルは、スーがディーラー、クリスもプレイヤーで入っ
て……」
クリス 「(老人たちに)二等兵のクリスであります!」
老人たち、「そうか二等兵か」「ならば鬼軍曹と呼ばれたこのワシが」
などと大喜び。
扉が開く音。
エル 「次のお客様よ!」
グレイス「(にこやか)いらっしゃいませー」
ニナ 「(慣れない)い、い、いらっしゃいませ」
サクラ 「こりゃ、思ったより忙しくなりそうだ」
みなが忙しく働き出したコテージ内を見渡して、物思いにふけるサク
ラ。微かに充足の笑みを浮かべている。
サクラ 「……」
そんなサクラを見るニナ。
ニナ 「先を見てる、かぁ……」
○21
時間経過。夕方。
みな笑みを交わしながら、忙しく仕事中。
ニナ 「(でもまぁ……なんとか回ってる、かな? これが先輩の夢の一部……
ちょっと、楽しくなってきたかも……)」
コテージの扉が開く。
一同 「いらっしゃいま……」
校長登場。超仏頂面。
サクラ 「……げっ!」
校長 「何が『げっ!』ですか」
クリス 「誰ですか?」
エル 「校長の顔くらい覚えておきなさい!」
楽しそうにしていたニナの顔は凍っている。
○22
サクラ 「いやえとあの、いらっしゃいませ……」
校長 「客ではありません。視察です。……まったく、こんなのに許可を出さな
きゃいけないなんて……」
さすがのサクラもどん引く中、怒りの目線でコテージ内をねめ回す校
長。
キッチンにいたタンポポがひょいと顔を出す。
タンポポ「どうかしましたか……げっ!」
校長 「何が『げっ!』ですか、あなたまで!」
タンポポをにらむ校長。たじっとなるタンポポ。
校長 「……ちょっと重要なお話があります」
校長、タンポポの片腕を自分の腕で抱え込んでコテージ外へ引っぱり
出す。
タンポポ「な、なるべく早く戻ってこれるようにしますからーーっ!」
唖然とした顔で見送る部員たち。
○23
サクラ 「(窓の外の夕日を見ながら)カジノなんて夜になってからが本番だって
のに……男の監視が必要なのは、これからだろうにさ……」
エル 「シフト交代時間よ、私は休憩に入るけど大丈夫?」
サクラ 「まあ、なんとかするよ」
ニナ 「次、私プレイヤー入ります」
ニナ、席に着く。ディーラーはクリス。
ニナ 「(腕を試すチャンス……がんばらなきゃ!)」
チャラ男客たちが、コテージに新たに入ってくる。
チャラA「おぉー、ホントだー、スタッフ女の子ばっかじゃーん」
チャラB「カーワイィー」
ニ・ク 「?!」
チャラ男たちがニナとクリスになれなれしく言い寄っている様子を横
目に見つつ。
サクラ 「(ほらああいう客が来た……)」
○24
スーがディーラーのテーブルはもともと席が埋まっている。
グレイスがディーラーのテーブルには客がいない。サクラとグレイス、
ニナとクリスのテーブルを見ながら。
グレイス「わたくしのテーブルが空いてますのに、屈辱ですわ」
サクラ 「『イイ女とつきあいたい』じゃねぇのさ、マウントして優越感に浸りた
いだけの連中だ」
ニナとクリスのテーブル。
チャラA「じゃあさー、せっかくポーカーやってるんだから、賭けようよ」
ニナ 「え? え?」
チャラA「オレが勝ったら、キミは仕事終わった後オレとデート。ね?」
チャラB「おぉー、それいーじゃーん、決まり決まり」
ニナ 「え、そんな勝手に、」
チャラA「あ、それレイズね(チップ出す)」
ニナ 「(パニック)……フォールド」
サクラ 「あー、ちょっと行くわ、あたし」
サクラ、グレイスに目配せしてからニナのもとへ。グレイス、頷く。
○25
サクラ、ニナの肩に手を置いて、席を替われと促す。
サクラ 「(チャラ客に向かって)すんませんねー、この娘そういうの慣れてなくっ
て」
チャラ客、邪魔されて不快そうな目線。
サクラ 「代わりにその賭け、あたしが受けるよ。あたしゃポーカー強い男がイイ
んだ、ヘッズアップであんたが勝ったら、この後ホテルでもどこでもつ
きあってやる」
ニナが「先輩!」という目で見るがサクラは手で制する。チャラ男A、
お、とちょっとニヤケる。
サクラ 「逆に、あたしが勝ったら、さぁ」
斜に構えてしなを作って見せながら。
サクラ 「あんたの(ピーーーー)はあたしのもんだ」
サクラが突然下半身の単語を口に出したので、ニナとクリスはびっく
り。
チャラ男A、ニヤケ顔MAXになる。
チャラA「なんだオマエSの趣味あんのかよとんだビッチだぜ! いーぜぇその勝
負で。どっち転んでも損はねぇぜ!」
○26
サクラとチャラ男Aのヘッズアップ。他のチャラ男たちおよびニナ・
グレイスはギャラリーとなって見ている。
(このあたりで、スーが平然と自分のテーブルを仕切っていることも
描写)
ディーラーはクリス、怖がりつつ。
サクラ 「そんなにビビんなくていいよクリス。いつもどおりやればいい」
10ハンドほど経過。チャラ男Aが攻め立てており、サクラのチップの
の方が少ない。
チャラA「レイズだ」
サクラ 「……下り」
チャラ男A、チップを乱暴に投げ込む。
チャラA「そら、オールイン!」
サクラ 「下り」
チャラA「おいおいなんだよ、威勢のいいこと言ってたわりに下りてばっかじゃね
ぇか」
サクラ 「あせるなよ、勝負はこれからだ」
○27
時間経過。サクラのチップの量がさらに減っている。
突然コテージの扉が開く。
先頭にグレイスの老執事、その後に手術着姿の医療従事者らしき集団
が続いて、コテージ内に手術台を運び込む。グレイスがGJと親指を
立てる。
チャラA「な、なんだ?」
サクラ 「必要だから呼んだんだよ。あたしが勝ったら……」
サクラ 「そのだーいじなもの切り取って、あたしのものにするんだから」
サクラ、ホラーに出てきそうな怖い顔。背後で、メスをぎらりと光ら
せる手術着の男たち。
サクラ 「レイズ」
股を押さえて縮み上がるチャラ男たち。
○28
恐怖にひきつった顔でコテージから逃げ出していくチャラ男たち。す
れ違いに、休憩から戻ってくるエルネスタ。
コテージ内。
ニナ 「すみません先輩、私のために……」
サクラ 「いいってことさ。将来もずっとこの鉄火場で生きてこうってんだから、
メンタルで負けてられっかって話だよ。これも駆け引きってやつ……
(エルネスタに耳をつねり上げられる)っで?!」
エルネスタの前に正座させられるサクラとグレイス。
エル 「勝ち負けじゃないでしょ仕事は! 悪評立てられたらどうするの! グ
レイスまで悪乗りして!」
サ・グ 「あいすみません……」
ニナが口を挟む。
ニナ 「あの、先輩は私が絡まれてたから……」
エル 「関係ないっ! もしファミリーの信頼が傷ついたら、あんたらの貞操ご
ときいくら売っても足りないって話よこの馬鹿!」
1年生組、滅多に見られぬエルネスタ怒りモードの剣幕にたじろぎつ
つ、「言い切るし!」と驚いた表情。
○29
エル 「サクラ。私はあなたが真剣だと知ってるし、いずれファミリーの幹部に
迎え入れてもいい人材だと思ってる。あまり失望させないで」
面目なさそうにしていたサクラが、真剣な目線をエルネスタに向ける。
サクラ 「感謝してるよいつも。でも、そういうレールにあたしが乗ると思うなよ」
にらみ合うエルネスタとサクラ。
タンポポ「あのぅ……すみません何か騒ぎがあったようで……」
とたんに息が合い出すサクラとエルネスタ。1年生組びっくり、グレ
イスはヤレヤレのポーズ。
サクラ 「すみませんじゃねぇどこ行ってやがった、なーにが『監督します』だこ
の野郎!」
エル 「先生もそこ正座! 校長先生とどんな重要な話をしてたか、とっくりと
聞かせていただきましょうか!」
タンポポ、正座しつつ言い訳。
タンポポ「えー、つまりは女性のご機嫌をいちど損ねると、対処がたいへん難しい
というお話で……」
○30
時間経過、翌日以降も忙しく働く様子。特にタンポポが容赦なくこき
使われている。
毎日働いて……。
やがて全日程終了。
一同 「お疲れさまでした!」
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