第17話

 猫達はラヌーのある島を駆け巡った。

 街の周辺から少し離れた森や小さな山

 ありとあらゆる所を猫達は探し回る。

 その情報は逐一私達の元へ届けられた。


「街の周辺に怪しいところは無かったニャー」

「現在、南の森を調査中ニャー」


 等々、猫達は一生懸命お魚を独占している誰かを探す。

 私も捜索を手伝いたかったけど、猫達の足の速さについていけないから、犯人が見つかるのをじっと待った。

 太陽が頭の上に登り、懐中時計の針が十二時を過ぎた頃、その情報は飛び込んできた。


「報告ニャー。西の海岸に建物があったニャー」

「大きな船も停泊していたニャー」


 その報告を聞いた私達は顔を合わせて頷く。


「きっとそこががお魚を独占している犯人の住処ニャー」

「捜索班に通達だニャー」


 ラーカスとギュスクはすぐに次の指示を出して、捜索に向かっている猫達を招集した。

 すぐに猫達は戻ってきて点呼を取り、全員がいる事を確認する。


「皆聞くニャー、西の海岸で怪しい船と建物が発見されたニャー」

「これからその船と建物にきっとお魚を独占している犯人がいるニャー」


 ラーカスとギュスクは得た情報を猫達に伝える。

 猫達はざわざわと今後の動き方について相談し始めた。


「犯人は悪い奴に決まってるニャー」

「皆でコテンパンにするニャー」


 猫達はラーカスとギュスクの言葉にニャーニャーと鳴く。

 皆やる気満々だけど、猫達が傷つく姿は見たくない。

 できる限り私も頑張らないと!


「我々には強力な爪があるから平気だけど、アリスティアも何か武器を持っていくニャー」


 最初は危ない物なんていらないと思ったけど、確かにどんな人達がいるかわからないから護身用に何かを持っていこう。

 猫達は木の棒や刃物等たくさんの物を用意してくれた。

 刃物は危ないから私はフライパンを選んだ。

 これなら少しは料理を作った事のある私でも使えるわ。


 それからすぐに私達は、ラヌーを出て西へ向かって歩き出した。

 大きな船と怪しい建物が見つかったのは、ラヌーから一時間程歩いた所にあるらしい。

 何があるかわからないから、私が先頭に立ちその後ろに猫達がついて来る。

 一緒に来ている猫達は誰もが腕の立つ者達ばかりだった。


 歩き続けるとやがて海が見えてくる。

 捜索隊のメンバーに道を聞きながら進むと、海岸に一隻の船が停まっていた、


「あれだニャー」


 最初に船と建物を見つけた猫が私達に知らせる。

 いよいよお魚を独占している犯人の居場所へ乗り込むんだ。

 ラーカスとギュスクは猫達に振り返り命令を下す。


「皆準備は良いかニャー!」


 ラーカスの言葉に私は頷き、猫達はニャーニャーと鳴いた。


「全員突撃だニャー!」


 そしてギュスクの一言で、たくさんの猫達が一斉に走り出した。

 私も猫達に遅れないように全力で走る。

 私達が一斉に押し寄せて来たことに気付いたのだろう、船と建物から人影が出てきた。

 今度こそ相手は人間だ!

 皆気を付けて!

 私は猫達の無事を祈って、建物の前に現れた人達に向かって走る。


「うおっ、なんだなんだ!?」

「ね、猫が攻めて来たぞー!」


 猫達が現れた人間の大人達に群がっていく。


「二手に分かれて攻めるニャー!」

「俺達は建物の制圧をするニャー!」


 ラーカスとギュスクの指示で猫達が二手に分かれる。

 私はラーカス、ギュスクと共に建物の中に入った。


 怪しい外観とは裏腹に、中は結構綺麗だった。

 広い建物の中には木箱やタル等が多く積まれている。

 きっとあの中にお魚が入っているに違いない!


「なんだか外がうるさいな。一体何事だ――――」

「きゃああああ!」


 突然部屋のドアが開いて逞しい男の人が出てきた。

 私は驚いて思わずフライパンを振り回した。


「痛ぇ! な、なんだこの娘は!?」

「皆アリスティアに続くニャー!」

「うわぁ!?」


 猫達が覆いかぶさり男の人は床に倒れた。


「はぁはぁ、びっくりした!」

「アリスティア大丈夫かニャー!?」

「うん、大丈夫!」

「このまま突き進むニャー!」


 お魚を独占している人達の本拠地に乗り込み、私達は次々に現れる大人達と戦った。

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