第15話

 暖炉から出てくると、私の帰りを待っていたラーカス達が集まってくる。


「ラヌーの様子はどうだったニャー?」

「聞いてラーカス、ラヌーの猫達は何もしていなかったの」

「どういう事だニャー」


 私はラーカス達にラヌーの猫達の様子を伝えた。

 ルーレの猫達と同じくラヌーの猫達も、二週間前からお魚を食べていない事実と、お互いに独占していると誤解している事、そしてお魚を独占しているのはルーレの猫でもラヌーの猫でもない別の誰かである事を。


「な、なんだってニャー、それじゃあ犯人は別にいるって事かニャー」

「うん、今ラヌーの猫達が探してくれているの」

「そうかニャー。じゃあ我々も一緒に探すニャー」


 ラーカスはそう言うと、部屋にいる猫達に命令する。

 猫達はすぐに部屋から飛び出して真犯人を探す準備を始めた。


「できる限り早く見つけるニャー、今日はもう遅いからアリスティアはホテルで休んでると良いニャー」

「うん、そうさせてもらうね」


 もうお腹もぺこぺこだしラーカスの言葉に甘えよう。

 ホテルへ戻ろうと外へ出ると、もう日が落ちて辺りは暗くなっていた。

 道に迷わないように、慎重に歩いてホテルへ戻った。


 ロビーにいる猫達に聞いて、私はレストランへと向かう。

 ルーレやラヌーは人が少ないけど誰が料理を作るんだろう?

 そんな疑問を抱きながら案内された席に座った。


 メニューは相変わらずよくわからない名前が並んでいる。

 でもレストランの従業員の猫に、お魚が無いから多くのメニューを創れないでいると聞いた。

 だから私は作れるメニューをおまかせで注文した。


 しばらく待っていると猫達が料理を運んできてくれる。

 数匹の猫が並び、器用に背中に料理を乗せいた。

 今回食べる料理はウルウルパという料理だ。

 猫達から直接料理を受け取りテーブルの上に置く。


 いただきますと祈りを捧げて、早速ウルウルパを食べ始める。

 揚げたお芋やカボチャ等の野菜を、少し焦がしたホワイトソースでいただく料理だった。


 とろりとしたホワイトソースを、揚げたてのお芋にかけてぱくりと口に運ぶ。

 サクッとした衣の中には、ほくほくのお芋!

 甘いお芋の味が疲れた体に心地よい。

 ソースの味も相まって、クリーミーな甘さが口全体に広がる。

 それからパンを食べてみると、少ししょっぱい塩の味。

 どうして塩味のパンなのか、その理由もすぐにわかった。

 パンを食べた後にウルウルパを食べると、野菜の甘さが一層引き立つ。


 これはなんだろうと次に頬張ったのは、チーズを揚げたものだった。

 チーズの味とホワイトソースの味が、相性ピッタリでこれも美味しい!

 他にもナスやタマネギなどを揚げたものを食べていく。

 どれも素材の味が生きていてすごく美味しかった。


 私はマッソイで食べたウォトランスタに続いて、このウルウルパも気に入った。

 レストランの猫達は、お魚料理が出せなくて申し訳ないニャーと言っていたけど、私は大満足だった。

 猫達にお礼を言って私はレストランを後にした。


 部屋に戻りお風呂に入った後、ルーレとラヌーの猫達の事を考えていた。

 今頃きっと一生懸命、お魚を独占している誰かを探しているに違いない。

 私にできる事は少ないけど、なんとか猫達にお魚を食べさせてあげたいと改めて思う。


 ベッドに潜り込むと、歩き疲れたのか眠気はすぐにやってきた。

 明日起きたらまずはラーカスとギュスクに会いに行こう。

 こうしてルーレとラヌーでの一日は終わった。

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